第196話 幸せ者 ページ14
『たっのしかったー！』
ぐぐっと伸びをしてお腹から声を出す。
途中からへなちょこ馬も巻き込んで、恭弥と三人で楽しく遊んだよ！
【戦闘を遊ぶとは間違っても言わねーからな！！】
『そういえばお昼を過ぎてる……はっ！ クロームちゃんと千種の目が光っていない今がアイス様を堪能するチャンスでは……！？』
そうと決まれば早速アイス様を手に入れに行きますか！
鼻歌を刻みながら一歩を踏み出した瞬間、
ぎゅっ
『！？』
背後から何者かに抱きしめられた。
なっ、私が他人の気配に気づかないとかありえないんだけど！？
拘束されているために腕が使えない代わりに自由な脚で何者かを蹴り飛ばそうとするも、それは簡単に阻まれる。
こうなったら幻術で…
「……ユキ。無事だったんだなぁ゛」
なっ、この声は……す、すすすスクアーロ！！？？
【なるほど。未来では一緒にいる時間が長かったからな、スペルビ・スクアーロの気配に体が慣れていたから気がつかなかったんだろ】
『スクアーロ！』
くるりと体を返されて、真正面からスクアーロと顔を合わせる。
剣だこばかりの骨ばった指先が未来での戦いによって短くなった髪を梳く。
「綺麗な髪だったのになぁ…。み……短いのも似合ってるぜぇ」
『あ、ありがとう…』
「お、お゛う…」
互いに目の下をうっすら色づかせ、あらぬ方向へ視線を逸らす。
……って！！ な、流されないんだから！！ 私はまだ雨戦でのことを怒ってるんだからね！！
ちょっ……ほ、頬を撫でるなぁーー！！ くすぐったいでしょ！！
【はいはい、ごちそーさん。ツンツンしてねーで素直になれって】
ツンツンしてないっ！！
『し、心配かけて……ごめんね。そ、それじゃあ私は帰るから！』
「ま、待てぇ！！」
『うぷっ……！？』
「う゛ぉっ！ す、すまねぇ……！」
早口でまくし立ててスクアーロの腕の中から逃れると、腕を引かれて再び抱き込まれる。
だっ、だから！ さっきから距離が近すぎると思うんだけど……！！
抱きしめている腕の力は緩くなったけど、ほんの数10センチ先にはスクアーロの顔ががが……！！
「……未来で何があったのか、見たんだが…………なんで、“ありがとう”なんて言ったんだぁ……？」
わからない、という表情で見つめてくるスクアーロ。
ああ、消滅する前のことだね…
『私の命を惜しんでくれる人がたくさんいてくれて、三浦ユキは幸せ者だなって思ったんだ』
本当に、そう思うよ。
第197話 プロポーズ…？→←第195話 弟分と失恋へなちょこ馬
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霽月(プロフ) - 緋雨さん» ありがとうございます!! お陰様でなんとか完結させることができました。いつもコメントありがとうございます。たまに番外編ものぞいてやってくださいね。これからも精進します!! (2019年8月30日 21時) (
レス) id: a6fc521fe8 (このIDを非表示/違反報告)
緋雨 - ハル姉 完結おめでとうございます！！ ユキちゃんとスクアーロの結婚式 読んでてとても面白かったです！！ 今までとても素敵なこの作品を書いてくれてありがとうございます！ お疲れ様でした！ (2019年8月30日 20時) (レス) id: abe5765737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霽月 | 作成日時：2019年6月17日 23時
