第97話 術士には術士を ページ6
有幻覚で構成された強力な火柱がトリカブトを焦がす。
「にゅにゅっ！？ トリカブトより強い幻術〜！？」
そうしているうちにボスがユニとγを守るように立ちはだかる。
そのタイミングで幻覚を消すと、ボスによってトリカブトが殴り飛ばされる。
「！！！」
「どこを見ている。お前たちの相手は、ここにいるぜ」
「10代目！！」
「沢田サン！！」
相手は術士……必ず幻術を使ってくる。
さっきの幻覚は効いたけど、次もこう上手くいくとは思えない……なら、私は。
「哀しき者よ」
トリカブトが服をはだけさせる。
……そういえばユキさん、ネヴェリータの人が同じようなことをやる度に吐きそうな顔してた。
相当見たくなかったのかも。
「胸に匣が埋まってる！」
「ディーノから連絡のあった修羅開匣だな」
ガチッ……ズオッ！！
トリカブトが霧の炎を匣に込めた影響で、その風圧にボスたちが晒される。
「はひっ、キモイですーー！！」
うわぁ……気持ち悪い。
あの姿は蛾の擬態だとか……悪趣味すぎると思う。
「終焉の時」
トリカブトを中心として景色が回り出すような感覚に襲われる。
「この幻覚……！！ チョイスの時より強い！！」
「あっ！」
「ハハン、助かりましたよトリカブト」
感覚が狂わされた真美ちゃんの重力が桔梗から外れてしまう。
「トリカブトが消えた！！」
「くっ、天地がつかめない！ 姫、しっかり掴まってろよ！！」
「はい！」
「何が何だかわかりません〜！！」
「目が回るぅ〜」
「オレに掴まってろ、ハル姉、雪華！」
……目には目を、歯には歯を……術士には術士を。
ボスたち同様に五感を狂わされる異様な感覚の中、ボンゴレ匣に炎を込め、ムクロウを呼び出す。
ユキさんにこれくらい強力な幻覚を食らわされたことあるから……耐性がついていてよかった。
「ムクロウ……
霧の炎を纏うムクロウが私の左目のあたりにその姿を変えてやってくる。
「クロームお姉ちゃん！ それ……！」
「あれは初代霧の守護者の使っていた武器と同じボンゴレ匣……実体のつかめぬ幻影と謳われた、D・スペードの魔レンズだな」
あまりにも強力な幻術に脳が支配され見抜くこともままならなかったのが、魔レンズを通して空間を見ることにより情報を……トリカブトがどこにいるのかを教えてくれる。
「ボス！！ 大空の
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作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
