第135話 大切な人たちが生きるこの世界は ページ45
「どのみち君の余計な助けはいらなかったよ」
「強がらないでください、雲雀恭弥。あなた程の男ならわかっている筈だ。幻術で彼らの技を知ってなおのこと、真六弔花は強いと。ここからは本当の死闘となるでしょう」
「はーい、本番いきまーす！」
メガホンの幻覚など、凝っていますね。
少しは真面目に戦ってくれることを期待していますよ、おチビさん。
「ハハン、どうですザクロ。時間は稼げましたか？」
「ああ、今のかったりー会話のうちに左腕は完治したぜ！！ チャンスを逃したなバカ共が！！」
慢心しまくりですね。
「しししっ、バカはおめーだ。待っててやったんだっつーの」
「なにぃ？」
「ボスは完全なお前たちをかっ消したいのだ！！！」
「相変わらずですね、XANXUS」
「さぁ、はじめよう」
XANXUSも雲雀恭弥も楽しそうにしないでください。
戦闘狂は師匠だけで充分ですよ。
「ここを制した側が、勝つでしょう」
◇◇◇
やっほー、8話ぶりのユキちゃんだよ！
【だからメタァ！！】
えー？ ユキちゃん何のことだかわかんなーい。
【ぶりっ子すんな！！】
XANXUSくんたちとの通信を終え、寝起きで動きの悪い体を調整するために少しばかりミドゥーザと組み手をして程よく体が温まったよ！
さぁて、行くとするか。
「雷クラゲに乗っていこうヨ、ユキ様」
『上から戦局を見たいしそうしようか』
現れた雷クラゲのぷにぷにした部分に飛び乗る。
「さ、頼むヨ！」
遠くの方の森から恐竜が顔を出したり、嵐の炎が噴出したり、爆音がこだましたり……となかなかの戦場具合だ。
ああ、そうだ…
『ミドゥーザ。キミは雪の者として世界にその力を制限されているから使えるのは全体の3分の2だし、私は雪のアルコバレーノだから使える力は全体の3分の1だ。それに明け方までの黒兎との戦闘の疲労もある…』
軽い眩暈を、奥歯を噛み締めてやりすごす。
『下手をすれば死ぬ。それでも私と共に来るか？』
「勿論！ どこまでもついていくヨ！」
即答だった。
ハイヒールを履いているために同じくらいのところにある頭をぐしゃぐしゃと撫でまわす。
『戦うのは次の奴で最後だ。気張れよ』
「うん！」
バイパー……本当に、あとちょっとだけ待ってて。
アリア、キミがついているのなら、どんな道でも私はまっすぐ進み続けられるよ。
こんな世界のことなんて知ったこっちゃないけど、それでもキミたちが生きるこの世界は美しいとも思うから……
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作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
