第95話 いいとこどり ページ4
真美side
不覚……！
あたしはユニと共にトリカブトに抱えられている。
「さあ、ここは我々に任せてユニ様……と、真美様をお連れしなさいトリカブト」
「あたしを……ついでみたいに……言うんじゃなーーい！！！」
あっっったまキた！！！
数年前にユキお姉ちゃんから貰った黒交じりの赤いリングに炎を灯す。
他の誰とも違うこの炎は――――重力を自在に操ることができる。
ボオォオッ！！！
「沈めてやるっ！！！」
あたしだって、ユキお姉ちゃんの弟子だ！！
年下にばっかり、いい恰好はさせられないんだから！！
「な、なに！？ あの炎……！？」
「極限に見たことのない炎だぞ！」
ギュインッ！！
ケバイ化粧の……桔梗とか言う、あたしをナメてくれた男をコンクリートに沈める。
「ぐはっ……！？」
すっごくムカついてはいるけど、この炎の操作には冷静にならなくちゃいけない。
ユキお姉ちゃんが言うには、あたしの炎に耐えうるリングがほぼゼロである中で、なんとか見つけ出したのが今しているリングなんだって。
これが壊れちゃったら戦えないからね。
「にゅ〜！ 桔梗〜！」
「ブ……ブルーベル……私は、構いません……っ！ それよりも……！」
そう、だからあたしは全力の炎を使えない。
沈めておけるのは一人だけ。
「あたしが抑えておけるのは桔梗だけ！ 雪那、そっちはよろしく！」
「了解、真美姉！」
あたしを睨みつけ、けれどユニがいるために攻撃ができないブルーベルは、匣からいくつかのアンモナイトを雪那たちがいる方へ飛ばす。
「にゅにゅ〜！ 死んじゃえ！！」
「みなさん！！ おじさま！！」
しかし、それを獄寺さんの防御シールドと雪那の雨の炎が防ぐ。
あのシールドいいなぁ、とっても便利そう！
「大丈夫だよユニ。それより、あたしたちはこいつから抜け出さないと、……！！」
「真美……？」
来た……！！
ギュルルルッ……ズバッ！！！
まったく、いいとこどりしちゃってさ！
「！？ コルル……ビジェット……？」
正面からの二匹の狐の攻撃がまともに貫通したトリカブトが霧となって消える。
Fシューズを履いていたあたしはそのまま空中へ。
ん？ ユニ？
「お怪我はありませんか？ 姫」
「ガ……
ヒーローは遅れて登場☆みたいにやって来たγが姫抱きしてるよ。
ユキお姉ちゃんが見てたら絶対に茶々入れてたよ、これ。
「遅いよ、γ！」
「悪いな、真美」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
