こんなヒロインは嫌だ。【オリジナル】

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｢えー、今日は転校生がいるので、紹介します。｣



教卓の真ん前、頬杖をついてホームルームを受けていた私も、さすがにその情報には、そうだな、眉くらいは動かした。


二次創作でありがちな展開ね、ネタが切れてきたのがすぐにわかるやつ。



入って、と言われおずおずと顔を覗かせたのは、目がぱっちりとした可愛らしい、いかにも好奇心旺盛そうな女の子。



いや違う。ひょこっ、と全身を現したのは、学校指定のズボンをはいたすらっとした背の……男の子？その人は、ひょこひょことペンギンのような動きで私の目の前、教卓まで来ると、




｢おがさわら、りんです。諸島の小笠原に、凛々しいの凛です。｣


見た目とは裏腹に、ハスキーな声してるなぁ。名前も女子みたいなのに。


それでも生理現象というのは抑えられないもので、眠気にあくびをしてしまった。


あ、これ絶対性格悪いやつだと思われた。初対面だし、印象よくしておかなくちゃな。



『Pray to gift,印象操作。』





見られないように呟いて、転校生くんを見た。のに。


｢荻野さん、だっけ？あくびしないでよ、悲しいなぁ。｣



『え……？』





目の前にいる私にしか聞こえない声で、そう言ったのだ。




端から見たら、何にもならない些細な出来事かもしれない。



けど、私にとっては。それが波乱の始まりだった。






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