【REBORN】最弱幹部は息を潜める 2nd Bullet (ページ10)

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目的34:邂逅ページ10

目を開けると真っ暗な世界だった。
地面に立ってる感覚はあるものの
上も横も銃を一発撃ってみても一向に当たらない。

考えられるとするならば夢か、あの匣の中か。

でも恭弥君との会話も、攻撃の重さも、痛みも、巻き付く鎖の冷たさも覚えている。
匣の中と言われた方が説得力がある。
人を閉じ込められる匣があるかは知らないけど。

そして気になるのは彼の最後に見た顔と台詞。
閉じ込めた張本人がなんて顔してるの、なんて台詞言ってるの。

「…………わけわかんない」

ぼそりとつぶやいたときだった。

『うわああああああああ！！！』
『誰だ！！！誰がいる！！』
『やめろ……嫌だ、嫌だあああああ！！！』
『死にたくない！死にたくない！！！』

今まで数えられないほど聞いてきた叫び。
ボンゴレに危害を加え、これからも敵対し続けるだろうマフィアの最期。
今更そんなものが頭の中に直接響いてくる

しかしその断末魔は次第に別のものへと変わっていく。

『お父さん！！お母さん！！』
『待ってくれボス！！なんでだよちくしょう！！！』
『何が悪夢だふざけやがって！！』
『こそこそ隠れる卑怯者め！！』
『いつか絶対見つけ出して殺してやる！！』

それは私に対する怨み。

「…………何を今更」

死人に口があるのならこう言われるのは当然のことで。
ショックも何もない。
それでも聞いていて気持ちのいいものではないけど。

「へぇ、泣いたりしないんだね」

ふと後ろから声が聞こえた。
頭の中に響かない。耳から聞こえる声だった。

「誰！！」

素早く距離を取りそちらを向く。
私が後ろを取られた。今まで誰の気配もなかったのに。
剣と銃を抜き、その声の主に向けた。

白いワンピースに腰ほどの白髪で、瞳だけが赤い。
黒い世界に浮かび上がる彼女は実に幻想的だった。
裏社会に縁もゆかりもなさそうなのに、
武器を向けられて顔色一つ変えないのが、
かえって不気味さも醸し出していた。

「初代の空(から)とだけ名乗ろうかな。
10代目の空の守護者の雲仙Aさん」

「……初代の守護者サマが何の用ですかね？」

彼女は微笑みを崩さない。私も武器をおろさない。

「えー、そこは初代が10代目を見定めにきたとか思わないわけ？」
「……死人に口はありませんから」
「あはは、まぁそれも一理あるねぇ」

挑発に乗る様子もなく、微笑みも崩さない。
しかし彼女はその中でまるで何事もないように言った。

「でも見定めにきたのは本当だよ」