【REBORN】最弱幹部は息を潜める 2nd Bullet (ページ5)

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目的29:幹部として、守護者としてページ5

「落ち着いた？」
「うん……ごめん、なさい」

腕の中から彼を見上げた。
なんで謝るの、と彼は訝しげな表情を浮かべる。

「……取り乱した、から」
「君が僕にならいいよ」

これ大人の余裕ってやつなのかなぁ。
と思いながら改めて彼の顔を見た。

黒髪も切長の瞳も何も変わっていないのに。
身長が伸びて、大人っぽくなった。
10年経ってるのだから当たり前なんだけど。
そして大人の色気なのか余裕なのか。
根本は変わってないけど、それでも雰囲気がどことなく違った。

別に10年前の彼もよく知っているわけでもないけど
彼は私の知っている彼ではない。
それをありありと実感した。

「10年かぁ……かっこよくなったねぇ」

何気なく言った本心を聞いた彼はすぐ背を向けた。
耳が赤い。
でもこれで実感した。
彼は雲雀恭弥だ。

「そういうところは変わってないんだ」

思わず笑っているとうるさいな、と小声が聞こえた。

ずっとこのまま談笑していたいけど、そんな事態ではないのは知ってしまっている。

「私はもう大丈夫だから……話の続き、聞かせて。
もう大丈夫。全部飲み込む覚悟はした」

「そうしようか」

彼は文字通り一息つき、改めてこちらに目を向けた。
10年前から来たヴァリアー雲の幹部に話を始めた。

「本部が襲撃を受けてボンゴレ狩りが進められてるけど、
ボンゴレも今から2週間後に全世界のミルフィオーレの支部に同時攻撃を仕掛ける作戦が進められている」

彼はさらに続ける。

「日本支部には10年前の沢田綱吉達が向かう予定で、
君にはイタリアでの主力戦にヴァリアー雲の幹部として出てもらう算段になっている」

10年前の私を戦力に数える気であるという。
戦闘は良くて並のこの私を。
わざわざ10年前から呼び寄せてまで。
正気じゃないのか。それとも

「そこまで余裕がないの？」
「それもあるし、君も守護者だからこの時代には来ることになってたって理由もあるよ」

まぁこうなってしまったものは仕方がない。
経緯はどうあれ、ボンゴレの危機なのは変わりない。

「じゃあやるしかない……かぁ」

まぁ私がどこまで戦力になるのかはわからないけど
ヴァリアー雲の幹部として、今はまだやるべきことをやるだけだ。

「……君、僕が何でわざわざここまで来たと思ってるの」

言われて気がつく。確かにここはヴァリアーの基地で。

「この1週間で君の才能をこじ開ける」

楽しそうに、不敵にニヤリと笑った。