【REBORN】最弱幹部は息を潜める 2nd Bullet (ページ35)

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目的59:手品と覚悟と小さな祈りページ35

「まぁ内緒にされた側が何か行動を起こすのはよくある話だと思うよ」

私の話を聞いた2人は目を丸くした。
まぁあの変装姿を見て、今の私を見てとなるとあまり血の気が多くは見えないだろう。
実際多くないし。

そこでふと思いつく。
「あ」
と彼女達の後方をみて小さく呟く。

「えっ？！」
彼女達は振り返るが当然そこには何もない。
彼女達が向き直る隙を着いて気配を消しつつ後ろに回り込む。

「何もないで……はひ？！」
「あれ、Aちゃん？」
「とまぁ私はこういうことができる人なんだけど」

私を見失った2人は後ろからの声に大きく肩を跳ねさせ、幽霊でも見るかのような目でこちらを見る。

タネも仕掛けもない手品と思ってと一言おき、続けた。

「知ってる身から言わせてもらうと、いくら覚悟して聞いてもその上をいくような凄惨な話だから、隠したくなる理由もわかる」

案の定2人の顔が曇る。でもそれほどの話だ。
知らずにいた方がいいことだってたくさんある。

「後悔しないでとも言わないから、せめて聞くにしても聞かないにしても……そのときの自分に胸張れるような選択を、ね」

きっと私は何度あのときに戻っても、ヴァリアーを裏切るだろう。
たとえ今度は本当に処刑されるとしても、その決断は揺らがない。

そこまでの覚悟は求めないから、せめて。
彼らが守りたいものを、自ら傷つけないでほしい。

「以上、最弱さんからのお節介でした。
私も色々頑張んなきゃ。またあとでね」

振り返らずに軽く手を振り、トレーニングルームを後にする。

最後に見た2人の顔ができる限りの覚悟を決めたもののように見えたのは、私の気のせいだろうか。

私にできることはやった。後は我らがⅩ世次第。
どうかみんなにとっていい結果になることを祈ることにしよう。