heartfelt X

side:gaku ページ44

源「男が車でた！アパートの方向かってく！」


岳「雅樹、俺が合図するまで待てよ。」


雅「了解。」




ごくりと生唾を飲み込む。
もし男が刃物を持っていたら、もし抵抗されて足を捻ったらと悪い考えが浮かんでくる。



それでも、守らなきゃいけないものがある。



Aに笑顔を取り戻すためならなんだって犠牲にしてやる。





現れた男。手には封筒を持ちキョロキョロと辺りを見回す。



もう少し我慢、もう少し.......




岳「今だ！」




雅樹が部屋から飛び出したのに男が反応して振り向く。その隙に俺は男の背中を突き飛ばして地面に押さえ付けた。






源「確保！縄！縄！」


「離せ！おまえらなんなんだよ！」


雅「おっさん、俺のこと覚えてるよな？よくもAに手出してくれたな！」


「なんのことだ！離せ！僕はAちゃんに会いに来ただけだ！」


雅「そのAちゃんがおまえのせいで怯えてんだよ。」


「僕は彼女を愛してる！おまえらガキにはわからねーんだよ！」


岳「......馬鹿言ってんじゃねーぞ、」





うつ伏せの状態で手と足をぐるぐるに縛り動けなくした。そして男の髪を掴んでぐいっと上を向かせる。






岳「愛だ？Aはてめーのせいで怖くて泣いてんだよ。愛の意味履き違えてんじゃねーぞ。」


「Aちゃんは僕のだ！おまえら目障りなんだよ！僕らの愛を邪魔するな！」





握りしめた拳は源に押さえられた。それでも千切れそうな程に髪を強く掴んでおもいきり上を向かせる。






岳「勘違いしてんじゃねーぞ！Aは俺のだ！Aに手出すやつは許さない！」


源「岳！だめ！」


岳「てめーの愛とやらでAは苦しんでんだよ！
好きなやつ傷つけてなにが愛だ！ふざけるな！てめーに愛を語る資格なんてねーんだよ！」






男は苦しそうに顔を顰め、パトカーのサイレンの音が近づいてくる。






岳「ストーカーでしか愛情を示せないようなやつがAの周りうろつくんじゃねーよ！おまえごときがA泣かせてんじゃねーぞ！」


源「岳わかった！もうわかったから！」


雅「岳、俺らの出番終了だぞ。」




岳「いいか、よーく聞けよ。



Aは俺の女だ。


Aを笑わせるのも、泣かせるのも、全部俺だ。


俺らの愛邪魔すんじゃねーよ。目障りなんだよ、殺すぞ。」




警「犯人確保ー！」




源に引っ張られて男から離れると警官が飛び込んで来て、辺りが一気に慌ただしくなった。

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