溜息 ページ1
父が韓国へ転勤することになり、先週韓国へ来た。
私の母は韓国人の父とは違い日本人で、小さい頃に他界していて、父と二人暮しだった私はいつも多忙な父に振り回されていた。
何度海外へ移住したことだろう。
やっとの事で英語を覚えた私は、今度は慣れない韓国語を話さなければならないらしい。
慣れも何も父と父の祖母が話しているのを耳にしたことがあるくらいで アンニョンハセヨ(こんにちは)やカムサハムニダ;(感謝します)くらいしか知らなかった。
そんなことを考えながら私は意味不明な韓国語での授業を受ける。
渡韓前に急遽、文法と1/100にも満たない単語を覚えた。
一生懸命ハングル講座にも通った。
だから人と話すことは何とか可能。
だけど授業となると勿論 "理解不能"なんだ。
頬杖をつき、とれもしない癖にノートを開きシャーペンを握る。
にしてもやっぱり、ミンホ先生はカッコイイな。
国語のチェ・ミンホ先生…
ミンホ「…ん?イ・A。質問でもあるの?」
ボーッ__えっ?
A「え?あ、あの、」
やばい日本語だ。
ミンホ『ナンデスカ?』
ニコッと口角を上げカタコトだけど優しすぎる日本語を返された。
A「ない…です。」
ミンホ「そうか。なら、しっかり聞いてなさい。」
何となくで理解し頷く…
ミンホ「うん。」
あ、また笑った。
A『かっこいい…』
※『』この時は日本語です。
ソユン「それ、どういう意味?」
前の席の子が振り向いた。
A「え、あ… かっこいいって…意味です。」
何とかかえすことが出来た。
ソユン「あ〜、ミノ先生はかっこいいよ。」
凛々しくて身長の高いこの子は、ユ・ソユンちゃん。
たまに話しかけてくれるから、きっと私を気遣ってるんだ。
何故か他の子達は皆ミノ先生って呼んでる。
ソユン「あ、私はソユンでいいよ。」
A「えっと…ソユン?」
ソユン「うんうん!」
嬉しそうに私の頭を撫でてくれた。
ソユン「Aはさ、私の言ってる意味ちゃんと分かってるよね。すごいと思う。」
私…褒められてる?
A「そんなことない…ただ必死なだけで…。」
ソユン「必死…?私なんて必死にすらなれないから、大丈夫だよw」
そんなこと言ってくれるのはソユンだけだ。
初めはよく話しかけに来てくれてた子達も、今となってはめんどくさいのかなにも接触がなくなった。
A「…ありがとう、ソユン。」
私は嬉しくて笑う。
ソユン「おうよ。」
157人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たんぐん | 作成日時:2019年8月26日 22時