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＿＿ カランっ
空き缶が転がる音がして体が離れた。
と、同時に目に入ったのはこの前と同じ。
今度はサングラスを外しながらこちらに向かってくる人影。
「……そういうこと？」
レンズ越しに酷く冷め切った表情を覗かせる幼馴染。
サングラスを外すと、私たちを見て鼻で笑った。
慎「……紫耀、」
紫「付き合ってんだ？お前ら、」
「…………」
慎「……いつ帰ってきた？」
紫「俺の質問に答えろよ」
「ちょ、」
喧嘩腰に睨み合っている２人を止めようにも止められない。
どうしてこうなるの。……分かってたくせに。
逃げ回ったって、受け止めなくちゃいけない現実なんだ。
慎「……付き合ってる」
紫「いつから？」
慎「もうすぐ３年」
紫「……まじか、笑」
その笑顔は何を意味するの？
私をフッたことを思い出した？
それとも切り替えの早さに呆れてる？
どうしようもなかったんだよ、
貴方がいなくなった私は空っぽだった。
全部受け止めてくれた慎太郎が私を支えてくれたんだよ。
慎「Aは知ってたの？」
「え、」
紫「帰ってきたその日に会ったよ」
慎「……は？」
紫「言ってなかったの？」
「……ごめん、」
慎「………なんの " ごめん " だよ」
挑発するように紫耀は「またね、A」と言い残して、
自分の家に入って行った。
とんでもない爆弾を落とされたまま、
取り残された私たちの空気は凍りついていた。
「……言おうと思ってて、ずっと、」
「…………」
「しんたろ、」
「俺に気遣った？」
「……え、？」
「紫耀が帰ってきたら気持ちが揺らぎそうで怖いから？」
「……何言ってんの」
「ごめん、今日は帰るわ」
いつもそうだった。
何かある度に、何かにつけては紫耀の名前が飛び交う。
この３年間、ずっとそばにいたのは慎太郎じゃん。
なんでそんなこと言えるの……？
そうさせたのは紛れもない私なのにね。
いつまで経っても私はズルい女だ。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年2月7日 7時
