・ 《 sh side 》 ページ28
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取材が終わった後も、事務所に戻ってリハーサル。
BGMに合わせて振りを考えてたら、海人が入ってきて微笑んだ。
マ「いい感じっすね！」
「誰かさんのおかげでやる気出たよ」
マ「あ、そうだ！さっき女の人が訪ねてきたんですけど、」
「……え、誰？」
マ「名前は教えてくれなくて、このくらいの髪の毛で、なんか美人でした！」
胸ぐらいまでの髪の毛、美人、……一致するのは１人しかいねえけど、
有り得ないというか、信じられないというか、そんなはずもないし。
マ「彼女さんですか？って聞いたらすごい勢いで否定されました」
「余計なこと聞いてんじゃねえよ」
マ「え、思い当たる人います？」
「……知らねえ、」
マ「あ、ちょっと！どこ行くんですか！」
「休憩だよ！ついてくんな！」
居ても立っても居られなかった。
携帯から探すAの文字。
番号を押そうとして躊躇った。
同時に浮かんでくるのは慎太郎の顔。
あいつを裏切るなんて出来ねえ。
この３年、いや、もうずっと。
……Aのことを想ってた慎太郎がずっとそばにいたんだもんよ。
俺なんかより断然、Aへの想いは大きいんだもんよ。
つーか、事務所まで来たんなら連絡くらいしろよ。
家も隣だっつーのに、あいつから連絡をくれたことなんて一度もない。
……そりゃそうか。付き合ってるやつが居るんだもんな。
もうすぐ結婚すんだもんな。……結婚か。
＿＿「おっきくなったらおれとけっこんしよ！」
＿＿「いいよ！しょおのおよめさんになる！」
＿＿「やくそくだからな！」
慎太郎が引っ越してくるずっと前。
手を繋いで、そんな会話をしたこと、あいつは覚えてるかな。
俺だけの記憶なら、もうそれでいい。
思い出すのは俺だけでいいんだ。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年2月7日 7時
