・ 《 sh side 》 ページ23
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無性にAに会いたくなった。
ダメだって分かってんのに、
あいつの帰りを待ち伏せなんかしちゃってさ。
そしたら、あーちゃんに声掛けられちゃって。
慎太郎とAのことを応援してるあーちゃんには、
俺の気持ちを言ったところで、……って感じだし、
下手な芝居なんかしちゃったよ。
音信不通のまま、隣の部屋に明かりが灯す度に、
今、慎太郎と一緒にいんのかな、とか、
何してんのかなって気になっちゃって。
……ダンスのことも、相談できるやつなんかいねーのに。
俺のダンスを応援してくれてたあの頃のAに縋りたくて、
そんな少しの期待を抱いて、気づけば発信ボタンを押してた。
ベランダを飛び越えたらすぐAの部屋。
雨でもなんでも、いつでも何時でもすぐ隣にAがいたのに、
こんな気を遣うようになっちゃったこと、……すげー悲しかった。
半ば強引に部屋に入ったら、慎太郎はいなかった。
まあ、まずいたら電話も出てくんねえと思うし。
聞いたら出張だって。……なに、これチャンス？
……あーちゃんに " ２人が幸せになってくれてよかった " なんて
言った側から俺、何馬鹿なこと言ってんのって後悔した。
" ……私は好きだったよ、紫耀のダンス "
" 紫耀にしか出せない雰囲気とか、難しいしよく分かんないけど伝わってきたの。その人の気持ちが届くっていうか、 "
" ずっと見てきたもん、 "
………ずりーよ、そんなの。
………ううん、俺の方が何十倍もせこい。
ずっと見てきてくれたAを見捨てて、
勝手にロサンゼルスなんか行って、
勝手に帰ってきて、後悔して、ダンス辞めようだなんて。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年2月7日 7時
