・ 《 sm side 》 ページ15
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＿＿＿＿
「紫耀、こっち」
紫「……おう」
「急にごめん、……ビールでいい？」
紫「いや、俺飲めないのよ」
「あ、そうなの？……じゃあ、烏龍茶？」
紫「うん」
そうだ、ハタチを祝う前にあいつは姿を消した。
俺も酒に強くはないけど、Aも一切飲まない。
そんな小さな共通点さえも、苛立ちを覚えた。
「なんで急に帰ってきた？」
紫「ふっ笑……いきなりだな、」
「分かってて来たんだろ」
紫「……ロサンゼルスは俺には合わなかった」
「３年も居たくせに？」
紫「ダンスの為だよ、指導期間が３年だった」
「……で、あの事務所に？」
紫「うん、日本の事務所ならすぐ売れるだろうって」
「大変だな、そっちもそっちで」
紫「……まあな」
建前だけの乾杯を交わして、ビールを流し込んだ。
喉を通るアルコールがいつもより少し、重く感じた。
＿＿＿
紫「おい慎太郎まじやめろって」
今、何時だろうか。
店の中心にある柱を抱き締めながら、
ジョッキを片手に枝豆を口に運ぶ俺を
必死に連れ戻そうとする紫耀の手を振り払う。
「っるせぇ！はなせ！」
紫「舌回ってねえよ」
「おまえはいいよなぁ、？…いっつもかんぺきでさぁ、…」
紫「……まじで飲み過ぎ、」
「おれなんかいつまでたってもずーーーっとあのまんま、」
紫「……………」
最後に覚えてるのは、紫耀のやるせない表情。
切なくも絵になる魅力でしかない顔面に嫉妬。
ジョッキを強制的に奪われ、振り払おうとした手ごと掴まれた。
その後の記憶はない。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年2月7日 7時
