15話 ページ16
「まったく、いつの時代でも鬼は利用されているんだねぇ。現世では時間遡行軍に踊らされるのかな……いつの時代もヒトは鬼になっても利用され利用し合う。悲しきかな、悲しきかな……なーんてね」
『……髭切』
隣に座る彼は、穏やかに笑っていた。
「千年もの間、僕はいくつもの時代の鬼を見てきた。そして人の手によって鬼たちを斬ってきたんだ。斬る度にね、鬼の過去が流れ込んできたよ……かつてヒトだった頃の記憶が、ね」
そう話す髭切の表情からはなんの感情も読み取れない。
私はただただ、この屋敷に着くまでに話していた、"鬼は人間だった"ということを思い出しながら彼が紡ぐ言葉を黙って聞いていた。
鬼切丸の別名を持つ彼の言葉を。
「鬼の始祖、鬼舞辻無惨とやらによって人は鬼にされる。時に人の恨み、憎しみ、悲しみを利用して……時に鬼舞辻の気分によって。残酷だよね。彼は確か、何かを探していたと思うんだけれど……なんだったかなぁ?」
忘れちゃった、と彼はいつも通りに笑った。
いつも通りなはずなのに、鬼の話題のときに見るこの表情は違和感を覚えた。
「ふむぅ……何はともあれ、裏で奴らが良からぬことを企んでいることは間違いないな……それで御縁よ」
『はい』
「お前には産屋敷殿の鬼殺隊に入って情報を集めてほしい。政府が鬼に狙われる、と言ったが逆もまた然り。政府から独立している鬼殺隊も時間遡行軍に狙われる可能性もある。ーーー審神者の本来の仕事の範疇ではないが刀剣男士たちと共に歴史と、この世を……人の縁を守れ」
『…………承知』
審神者御縁、新たなる任務を開始する。
『一つお聞きしますが、この任務まさか私だけでありませんよね?四華仙のうちの誰かと他の審神者の方たちでしょうか、連絡を取り合いたいので教えていただけませんか』
「おや、頂兵衛殿は伝えていなかったのかい」
「……………………」
局長の顔に冷や汗がにじむ。
まさか。
『この大規模な任務を、一人でやれと……?』
275人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊(プロフ) - 江戸城産くむっぷるさん» わああありがとうございます、絶賛心が折れかかっていたので言葉が染みました…!ぜんぜん鬼滅感なくて申し訳ないです、頑張りますね! (2020年1月19日 22時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - (''界''いらなかった…すみませんんんん) (2020年1月19日 17時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - 我こそは世界で最も心やさs(( ああああー!!とうらぶと鬼滅のクロスオーバーだああああ!凄く嬉しいです!更新頑張って下さい!!応援してます! (2020年1月19日 16時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» 続けて失礼します、ご指摘をくださるだけでなく応援の言葉をもくださってとても嬉しいです、歓喜の舞です!本当にありがとうございます、頭爆発させながら頑張りますね!!!!!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» えっえっえっまって審神者としてあるまじきな間違いしてんじゃん嘘だろ私審神者辞めようかな!!!全国全世界の審神者の皆様に心よりお詫び申し上げます!!!そしてご指摘本当にありがとうございます!!!細かくて全然いいんです!ありがたいですすみませんでした!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柊 | 作成日時:2020年1月13日 4時