51魚 ページ36
『トイレのあれは買ったでしょ…んで掃除のコロコロに雑巾…』
「あとは飯くらい?」
『んー…そう、かな』
今日は撮影も何も無い平日。
俺は諒と二人で買い物にきている。
『あ、これ企画で使ったら面白そう』
「どれ?…確かに、ダーマにやらせたら面白そうだな」
『買ってもいい?』
「おう。なぁ、あとでトレーニング付き合って」
『いいよ』
平日のこの時間は、俺たちに気づくような若者はこの量販店にはいない。
一緒に歩いていても声をかけるような野暮なことはされない。
「あらAちゃん、いらっしゃい!」
『吉田さんこんにちわ今日はコロッケまだあります?』
「あるわよ〜。今日は旦那ちゃんも一緒なの?やっぱりいい男よね〜」
『えへへ…』
「どーも。こいつがいつもお世話になってます」
スーパーに隣接しているお肉屋さんでコロッケを買う。
ここのは諒が大好きなんだ。
吉田さんは俺と諒の関係を知っている、と言うよりここの従業員さんはみんな知っていてたまに寄らせて貰っている。
【旦那】なんてちょっとドキッとするな。
まぁ逆に言えば俺が【奥さん】な立場に見えるんだろう。
実際そうなんだけど、男としてそれはどうなんだよ…
「はいこれ、旦那ちゃんにおまけの豚ロースのにんにく醤油漬けね!」
「おわー!あざます!」
「んふふふ…」
『吉田さん、含み笑いやめてください』
お会計を終えて家路につく。
少しだけ傾いた太陽が、俺と諒の影を伸ばしていた。
『なんか、妙にのんびりしちまうな』
「平日の夕方だしな。昭和ならそろそろカレーの匂いがしてくるんだろ?」
『お前は映画の見すぎだばーか』
誰もいない住宅街
誰もいない帰り道
長く伸びたふたつの影は
重なり合って夜闇に消える
『はぁ、幸せ。』
「うん、俺も。」
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ぐるり。(プロフ) - しみずさん» んわー!しみずさんありがとうございます!無意味なパート2ですが、今後ともよろしくお願い致します(ノ゚Д゚)ノ↑↑↑ (2018年1月13日 9時) (レス) id: d12cac2abb (このIDを非表示/違反報告)
しみず(プロフ) - わわわ、いつの間にパート2…!!続編おめでとうございます、これからもひっそりとファンで居させてください…!!無理のなさらない程度に更新ふぁいとです…!! (2018年1月13日 3時) (レス) id: 516966c55c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐるり。 | 作成日時:2018年1月12日 18時