中原家の思春期【中原中也】

スゥパァ ページ9

「立花さーん！」


私はあの後急いで立花さんを追いかけた。


「…中原さん、どうかしましたか？」




「いや、どうせなら一緒に帰ろうと思って…」




「…カラオケ、行かなくていいんですか？」






「あー、今日は家族でご飯食べる日だから早く帰らなきゃいけなくて！」





「そうなんですか。」




「立花さんは？何か用事あるの？」




「別に、何でもないですけど。」




現在時刻は午後4時前。
夕食作りには少し早い。


ということで…



「立花さん、ちょっといいかな？」




「…はい？」


＿＿＿＿＿


「どうして私がこんなこと…」




「いやーごめんね？今日の当番私でさー。」


私は近くのスゥパァで立花さんに買い物の付き合いをしてもらっていた。



「…ハンバーグですか？」


立花さんが籠を覗きながら聞いてきた。



「そうだよ、よくわかったね。」





「家では…私が食事を準備していますので。」





「え、全部？！すご…」





「でも中原さんも準備してるじゃないですか。」





「あーこれは当番だから。お母さん達に負担がかからないようにってね。」






「…仲いいんですね、親御さんと。」






「え？そ、そーかな？」



そう言われると正直嬉しい。
なんかちゃんとした家族なんだって思える。



「…と違って。」





「え、何？」





「何でもないです。」





立花さんはぼそりと何かを言ったけど聞き取れなかった。…何だったんだろう。




＿＿＿＿＿



「今日はありがとう、付き合ってくれて！」





「いえ、では私はこれで。」



立花さんは会釈をし、足早に去っていった。


…ちょっとは仲良くなれたかな？
私も家路へ急いだ。

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