中原家の思春期【中原中也】

昼食 ページ11

「おはよー。」




「おう、おはよう。」



お父さんに挨拶をして、椅子に座る。




「どうだ？学校は楽しいか？」




「んーまあね。」





「今日から弁当ありだし、本格的に始まるみてぇだなぁ。」



その言葉を聞いたとき、私の体は石のように固まった。




「弁当…あり…？」




「ん？嗚呼、便りに書いてあった。」




まじか…



「ち、因みに聞くけど、お父さん作だよね…？」




「ああ！腕によりをかけて作ったぞ！」



お父さんはテレビに写ればテロップに「守りたい、この笑顔」と出るような笑みでそう言った。



「やったー…」



詰んだ。



＿＿＿＿＿＿昼休み



「中原さん、一緒にお昼食べよー！」



あゝ、ついにこの時間がやってきてしまった…




「え、あー…」




「若しかして誰かと約束してる？」




生憎約束はしていない。
そんな約束が落ちていたら拾いたいくらいだ。




「そ、そういう訳じゃないけど…」




「じゃあ一緒に食べよーよ。」



ど、どうしよう…
腹を括るか？



そのとき、後ろから女神のような声が聞こえてきた。



「すみません、中原さんは私と昼食をとる約束をしているので、お借りしてもいいですか？」





「え…」




立花さんだ。

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