超特急と (ページ5)

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⑤ 恋人ページ5

付き合って3ヶ月。
(人1)はまだ8号車気分。

勿論すぐに馴染む訳なんてないのは分かるけど
3ヶ月も好きな子と暮らして我慢なんて出来ない。

『(人1)？』

｢あ？ごめんね、もう寝る？｣

『…何観てるの？』

｢去年の代々木！｣

『ふぅん…ふぁぁぁ』

あくびをひとつしてソファに座る(人1)の隣に腰を下ろす。

｢うるさかった？ごめんね音下げ…｣

『ううん、一緒に寝たいから俺も観る』

リモコンを取る(人1)の手を握ると
分かりやすくその顔が火照る。

本当はすぐに奪ってしまいたい。
けれどすぐに手を出したら(人1)はどう思うだろうか。
身体目当て？ヤれれば満足？
そんな風には絶対に思われたくないんだ。

｢…あ、ぁ、祐基くん！
代々木どうだった？やっぱり広い？｣

『うん広い、緊張するよ』

｢そっかぁ…もっと大きい所でやるんだもんね
…凄いなぁ、超特急って｣

嫌だ。

君の前では超特急のユーキじゃなくて村田祐基でいたくて。

けれどうまくそれを伝えられない俺は、

『(人1)』

｢んー？｣

キスをするしかないみたいだ。

｢…んっ、ふぁ、ん｣

『…俺の彼女でしょ？
俺を見てよ、こんなに近くにいるんだから』

｢…む、むり………｣

『無理…！？』

顔を真っ赤に染めて、俺のTシャツを掴む。

｢…祐基くんのこと見るだけで、心臓爆発しちゃう｣

『えっ？』

｢…どうしたら緊張しなくて済むかなって、
DVDいっぱい観たら慣れるかなって思ったけど
やっぱり彼氏の祐基くんは全然違くて…｣

うわあああ。
何この生き物。

『……ぅぅぅ、可愛い』

｢何？｣

『何でもない…一緒に慣れていこうよ』

｢うん｣

『今はまだ、緊張したままでいいよ』

そっともう1度口付ける。
濡れた唇を何度も軽く重ねて、その体温を感じる。

ぎゅっと優しく抱きしめ、
壊れそうに細い君の身体をなぞる。

｢…ゆう、きくん｣

『ん？』

｢もうこれ以上は…｣

『やばい？』

｢星になる｣

『ふははっ、何それ』

どうやら君と俺は自分たちが
思ってるより愛し合ってるみたいだ。