二章【崇拝】 ページ8
さしずめ、蛇に睨まれた子鼠とでも言えるその対峙に対して母親はAに「あんたも挨拶しなさい」と口を出した。
そこではっと我に返ってAも慌てて自己紹介を始める。
『あ、えと、初めまして…Aです…』
覚束無いその言葉に母親は小言を言うがそんな事は気にしていられなかった。
この悪寒は何だ。風邪はとっくに治ったはずなのに。
この視線はまるで、あの夜に現れる得体の知れないあれとそっくりじゃないか。
ビクビクしながら怯えたようにちらっとAが男を見るも清川と名乗ったその男はそんなAに優しく微笑んで母親の延々と続く小言に「まぁまぁ」なんて仲裁に入っていた。
「まぁキヨ君がハンサムだから男慣れしてないAには刺激が強かったのかもねえ」
「はは、やめてくださいよ」
味方が居ない。自分の母親が何か変な呪いに掛けられている気さえした。
何もまだこの人が悪人だと決まった訳でもないのにAの中ではほぼ確信に迫っていた。証拠は何一つ無くたって防衛本能が覚えている。
この男は関わってはいけない、と。
「ていうかあんた何しに来たのよ。忘れ物でもあったの？」
『……いや…ちょっと相談事…』
何故かその男の前で詳しく口を開くことが良くない気がしてその人の顔を伺いながら小さく呟いた。
当の本人はかすり傷一つ負っていない顔をしていた。
「あら、今からキヨ君家にあげようと思ってたのに。一緒にどう？」
あろう事かその人を家にあげようとする母親に制止の言葉が飛び出そうになるも、その必要は無かったようで。
「いやいや親子でしか出来ないお話もあるでしょうし俺は帰りますよ。お気遣いありがとうございます。
またね、Aちゃん」
そう言ってあっさり男は引き下がって満面の笑みで手を振って帰っていった。
またね、という言葉と下の名前で呼ばれた事が嫌に耳に着いていた。
「Aちゃん、…ふ、ふふっ……やっぱり俺達運命だよなあ」
男は右薬指を見つめ、先程の爽やかな笑顔とは一転。恍惚な笑みを浮かべて表情を綻ばせた。
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なみの。 - 壊れちゃった主人公ちゃんのふわふわした喋り方好きです・・・！とっても面白かったです。 (10月17日 23時) (
レス) @page48 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
霜はっぱ - 完結おめでとうございます!衝撃の最後!!びっくりしまった。流石です(^^)こういうのいっぱい欲しいです!でもあなたの作品はあなたが操るべきなのでご自身の思うがままに書いてくださいね!ほんとにお疲れ様でした!! (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
草の管理人 - 終わってしまったあああ!!!だがおめでとうございます!!言うのが遅れて申し訳無いです。想像の遥か上を行く最後で口が開いてしまいましたwほんとにお疲れ様でした!わがままですがこれからも病んでる作品いっぱい欲しいです…w (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - るなさん» え〜！？いつもありがとうございます！本当に書いているだけでこちらも体力を削がれるものだったので魂を削って書いた甲斐がありました。そのお言葉大切にします！私もこの作品とてもお気に入りなので愛してやって下さい！最後までありがとうございました！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 千景さん» 心に刺さるなんてそんな！もったいないお言葉ありがとうございます！重苦しすぎるヤンデレはこれからも書くと思うのでその時はまたよろしくお願いします！ありがとうございました！！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2020年6月1日 0時
