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彼女はどんな人が好きなのだろうか。
思い返せば具体的な異性のタイプを口にした所をキヨは聞いたことが無かった。
高身長、高収入、高学歴？
高学歴かどうかと問われれば自信はないが、偏差値の勝負なら自信はある。それ以外も言わずもがな。
顔はどうだろうか。俳優レベルとまでは豪語しないが、これでも学生時代は結構モテた経験がある。運動だって出来るし、トーク力もファッションにだってアンテナはいつも張り巡らせている。
君の為の準備は万端なのだから、いつでもこの部屋に…
「っ…！」
ふと冷や汗がぶわりと駆け巡って、胃を押し上げられるような感覚を覚える。
またか、と内心舌打ちをしてそれでも必死に床だけは汚すまいとトイレへ駆け込んで逆流してきた胃液を便器へ吐き出す。
じわじわと地味に喉に広がる胃酸の痛みと心地最悪の後味に嫌気が差してすぐに洗面所で口を濯いだ。
そのまま正面の鏡に映る自分と目が合って見つめあった。
もしも彼女がこんな自分を見たらなんと言うのだろうか。
精神病者は気色悪いだろうか、薬が欠かせないなんて知ったら気味が悪いだろうか、腕の痛々しい直線の傷跡を見て恐怖におののくだろうか。
こんな自分が君を好きだなんて知ったのなら、気持ち悪がるだろうか。
ひゅっと喉が音を立てて血の気が引いてその場にへたり込む。
恐怖が形になって自分を取り囲んで嘲笑っているような気がして、激的な不安感が押し寄せた。
今度は急いでリビングへ足をもつれさせながら辿り着いて、頓服薬を口に含んだ。
男には重症の妄想癖があった。
気分が良い時は都合のいい妄想を、ストレスが掛かり精神が不安定になった時には最悪の妄想で頭が埋め尽くされてしまい薬無しでは自我を取り戻すことが出来なかった。
いいや、きっと彼女はこう言ってくれる。
『大丈夫。ずっと傍に居るからね』
そう言って笑って元気づけてくれる筈だ。
キヨは薬袋片手にへらへらと嬉しそうに彼女に微笑み返した。
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なみの。 - 壊れちゃった主人公ちゃんのふわふわした喋り方好きです・・・！とっても面白かったです。 (10月17日 23時) (
レス) @page48 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
霜はっぱ - 完結おめでとうございます!衝撃の最後!!びっくりしまった。流石です(^^)こういうのいっぱい欲しいです!でもあなたの作品はあなたが操るべきなのでご自身の思うがままに書いてくださいね!ほんとにお疲れ様でした!! (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
草の管理人 - 終わってしまったあああ!!!だがおめでとうございます!!言うのが遅れて申し訳無いです。想像の遥か上を行く最後で口が開いてしまいましたwほんとにお疲れ様でした!わがままですがこれからも病んでる作品いっぱい欲しいです…w (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - るなさん» え〜！？いつもありがとうございます！本当に書いているだけでこちらも体力を削がれるものだったので魂を削って書いた甲斐がありました。そのお言葉大切にします！私もこの作品とてもお気に入りなので愛してやって下さい！最後までありがとうございました！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 千景さん» 心に刺さるなんてそんな！もったいないお言葉ありがとうございます！重苦しすぎるヤンデレはこれからも書くと思うのでその時はまたよろしくお願いします！ありがとうございました！！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2020年6月1日 0時
