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男は浮かれていた。好きな後輩の女の子と食事をした、初めてのデートであったから。

マンションのエレベーターを降りて、自分の部屋の鍵を開けるとそのまま閉めずに靴を脱ぎ出す。
オートロックであるからと、自分が男であるからと完全に油断していた。

閉めきる寸前で誰かが隙間に手をかけてガバリと戸を開ける。
風を感じて閉まるはずの戸を振り返った男はそこに立つ、背の高い見ず知らずの男に悲鳴をあげた。

否、あげかけた。

「情けねー声出すなよ」

細長い足でキヨは男を一蹴りするとそのまま戸を閉める。
カチャリというオートロックの音がキヨには心地よく、男には警鐘に聞こえて、腰を抜かしたのか男は奥の部屋へと這って移動する。

その姿を後ろから見ていたキヨがため息をついて、こんな奴に嫉妬心を抱いていたのかとただただ自分に呆れを感じた。

あれ程憎かった相手はいざ目の前にすると皆虫けらのように感じる。
人であるなら死を前にして当然の態度だが、キヨにとっては今まで憎んできた重なる日々が全て無駄だった様に思えてくるのだ。

「まぁ待てって、おい、待ちやがれ」

男の足首を掴んで自分の前に引き摺り戻すと彼は何とも情けない顔でキヨの顔を睨んだ。

「や、やめ!助けて!誰か」

声を荒らげた男にキヨは張り手を見舞う。
突然の頬の衝撃に理解出来ないのか唖然としている男にまたもう一発手を上げた。

キヨが何となくそのまま顔を叩いていると、やがて声も出なくなり、顔が梅干しの様に赤くでこぼこになる頃には衰弱したようにぐったりとなってしまった。

死なせては意味が無いと思い出し、キヨは口を開いた。

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設定タグ:キヨ , 実況者 , ヤンデレ   
作品ジャンル:恋愛
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なみの。 - 壊れちゃった主人公ちゃんのふわふわした喋り方好きです・・・!とっても面白かったです。 (10月17日 23時) (レス) @page48 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
霜はっぱ - 完結おめでとうございます!衝撃の最後!!びっくりしまった。流石です(^^)こういうのいっぱい欲しいです!でもあなたの作品はあなたが操るべきなのでご自身の思うがままに書いてくださいね!ほんとにお疲れ様でした!! (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
草の管理人 - 終わってしまったあああ!!!だがおめでとうございます!!言うのが遅れて申し訳無いです。想像の遥か上を行く最後で口が開いてしまいましたwほんとにお疲れ様でした!わがままですがこれからも病んでる作品いっぱい欲しいです…w (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - るなさん» え〜!?いつもありがとうございます!本当に書いているだけでこちらも体力を削がれるものだったので魂を削って書いた甲斐がありました。そのお言葉大切にします!私もこの作品とてもお気に入りなので愛してやって下さい!最後までありがとうございました! (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 千景さん» 心に刺さるなんてそんな!もったいないお言葉ありがとうございます!重苦しすぎるヤンデレはこれからも書くと思うのでその時はまたよろしくお願いします!ありがとうございました!! (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年6月1日 0時

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