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12.止めどなく ページ14

背中に触れる剛翼が、ぴくりと揺れる。

「…うん。俺たちコンビで活動するんでしょ?」
「……じゃあ、鷹と鷹匠の話は…?」
「………………………それも、聞いた」


少しの沈黙の後、啓悟は静かに答えた。
こちらから彼の表情は見えない。しかし聞こえてきたそれはまるで、既に覚悟を決めたかのような声だった。
そんな彼の声に、ふっと力が抜ける。もしかしたら抜けたのは、力じゃない別の何かだったかもしれない。


「……私…、あんま自信ないんだよね」


うわごとのようなあやふやな発音で、無理矢理明るい声を作って言葉を続ける。


「“鷹”と“鷹匠”になる、なんて…」


…やっぱりこんなことを考えて割り切ることもできずに足踏みしているのは、自分だけだったんだ。


「今までずっと一緒だったし…その…相棒としての距離感、とか…それにほら、啓悟って…何でも出来ちゃうでしょ?」


声が、ふるふると震える。視界がぼやけて、ぐにゃりと歪む。
自分の心が情けなさやら虚しさやら寂しさやら、言いようのない重く暗いもので押し潰されそうになっていく。


「…だ、から、」




_____勝手に片想いして舞い上がって、馬鹿みたい。




「っ…だか、ら、っ」

「……もういいよ、A」


ばさり、と羽音がして、不意に強く抱きしめられる。
涙で霞んだ視界のまま顔を上げると、ひどく悲しそうにこちらを見つめる黄金色の瞳と目が合った。


「……隠してること、教えて。俺…これ以上Aのこと苦しませたくない」
「っで、も…こん、な…こと…言った、ら……っ、啓悟、…困らせ、ちゃ、」
「…大丈夫。だから言って、ね?」


そのまま抱き寄せられ、とん、とん、と優しくあやすように背中を叩かれる。
もう、溢れ出した想いは止められなかった。


「……………っ、ほん、とは……啓悟が、あなたの、ことが、好き、なの……」


啓悟はしゃくりあげながら話す私の言葉に黙って耳をかたむける。


「…っこれ、から…最高の、相棒…にならなきゃ、いけない…って…わかってる、のに…相棒、…じゃなくて、あなたの…大切な人、に、なりたい…なんて、…こんなこと、考えちゃ、だめ、なのに…なのに……っ…」


ああ、ついに言ってしまった。
想いは洪水のように溢れて止まらないのに、彼の反応が怖くて声が続かなくなる。
私は怖さを紛らわせようとして、思わず彼の肩にぎゅっと顔を押しつけた。

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ABC. - Mさん» コメント有難うございます!!そう言っていただけて本当に嬉しいです…!応援も有難うございますm(_ _)mこれからも期待に沿えるような格好いいホークスをじゃんじゃん書いていきますね!! (2020年4月7日 1時) (レス) id: c992215576 (このIDを非表示/違反報告)
M - ホークス好きなんで、読んでとても良かったです。読みやすいし、ホークスの1つ1つの仕草がカッコよくて読んでて惚れました!話の続きも気になります(^^)これからも応援してます、更新頑張って下さい。 (2020年4月6日 21時) (レス) id: 090483948a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ABC. | 作成日時:2020年3月20日 2時

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