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病室から出ていいという許可が
やっと胡蝶さんからおりた。
いや、怪我自体はおおよそ治っていたのだが、『このまま行かせると次は骨で帰ってきそうだ』と彼女に叱られ、言い方は悪いが病室に閉じ込められていたのだ。
「…これ以上止めるのは貴方の意志にそぐわないでしょう」
ただし、無茶はしないように。そう笑って言う彼女の目が笑っていない。やめてくれ、今の俺はもう無茶しませんよ、多分。
曖昧に誤魔化して部屋を離れると、少し離れた部屋から何やら賑やかな声が聞こえてきた。
…俺のこと知ってる人がいれば、少しでも情報を貰いたい。そう思って部屋を覗くと、そこには
薬がまずいという金髪の少年に、怒鳴るアオイさん。
恐らく落ち込んでいるのであろう猪頭の男(だと思われる)に声をかけている痣のある少年。
__今回は見なかったことにしよう。
そう思って部屋を離れようとしたが、目敏くアオイさんが気づき、俺の首根っこを掴んで東門さんも何とか言ってください!と彼らの前に引っ張り出された。
何とかってなんだ。そもそも誰に言うんだ。おい?
そう言いたいのをグッと堪えて、じっと彼らの様子を伺う。
金髪の少年は…まあ、俺の目元を見てギョッと目を見開き、この人なんで目隠ししてるんだ…って顔をしている。
猪頭の彼はよくわからない。そもそも表情が分からないからどうにもならないが。
そして痣のある少年に目をやると、彼は金髪の少年より目を見開いたと思った刹那、俺に飛びかかってきた。
「は」
何をするんだ、と聞く間もないまま俺は地面に倒れ、彼が馬乗りになり、俺の胸ぐらを掴み叫ぶ。
「__お前はっ!!!!」
…アオイさんの姿は見えなくなっていた。胡蝶さんを呼びに行ったのだと信じて
俺は意識を目の前の彼に向ける。
彼は何かに憤っているようだった。そしてそれは俺絡みなんだろう。…だか、それに関わっているのは俺であって俺ではない。
何に対して憤慨しているのかの理由が見当も付かない。
「お、おい炭治郎…何してるんだよ、その人__」
「コイツが!!禰豆子を斬ろうとしたんだ!!!」
そう叫ぶと彼はギッと睨む。
ネズコ、とは誰だろうか。というかそもそも斬ろうとしたとは??ねぇ、俺何やってるの???
色々と思考が巡ったがフゥ、と息をつく。
__うん、もう考えないことにしよう。
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琴律(プロフ) - とても面白かったです!イメログの方も見させて頂きました!とっても上手ですね!!無理しない程度に更新頑張って下さい! (2020年3月10日 9時) (レス) id: b4e402c9aa (このIDを非表示/違反報告)
25253 - 面白かったです!これからも頑張ってください (2020年3月10日 9時) (レス) id: a847137800 (このIDを非表示/違反報告)
そらるな(プロフ) - 楽しかったです。更新待ってます。 (2020年3月8日 0時) (レス) id: 4a84e506c1 (このIDを非表示/違反報告)
そらるな(プロフ) - 楽しかったです。更新待ってます。 (2020年3月8日 0時) (レス) id: 4a84e506c1 (このIDを非表示/違反報告)
佐峅@岩動(プロフ) - 海谷2128:Δさん» コメント、励ましの言葉ありがとうございます!趣味でもありますのでちまちま更新して参りますので、気長にお待ち下さい!これからも頑張ります! (2020年2月26日 19時) (レス) id: 1d5638e044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐峅@岩動 | 作成日時:2020年2月25日 20時