【歌い手】双子の歌い手は正反対なようです

第23話　月 ページ26

奏side

ﾌﾟﾙﾙﾙｯ ﾌﾟﾙﾙﾙｯ

“もしもし”

奏「あー、luz?」

“luzやけどっ”

こんな時はいいからw

奏「今はいいよwそれで、何か手掛かりは見つかった？」

“いや、まだ···”

奏「そっか、それで楓の事なんだけど」

あっちも空気が変わったのが電話越しでも分かる。

奏「楓、今日、女子に暴力を受けたんだ」

“はっ···?なんやそれ！”

奏「ごめん、でも落ち着いて聞いて。それで、その後にあの指輪が光ったんだ」

これについて、何か分かる？と聞くと、「ちょっと待ってて」と言われた。

“···それ、まずいかも知れない”

奏「え───?」

言葉を無くす俺に、luzが説明する。

“あの時。楓が飛び降りる瞬間、あの指輪が眩しい位に光っていたのを覚えてるんだ。憶測に過ぎないけど、多分あの指輪は、楓の命が無くなる直前、それか楓の命が削られる時に光る物だと思う”

続けて、どの位光ったのかを聞かれる。

奏「少し···だったと思う。電池が切れかけの電気みたいな」

“つまり、寿命が少し縮まった位かな···だとしても、時間が無い”

奏「光、こんなこと今聞くのもあれだけど···楓は、いつ頃がタイムリミットなの」

しばらく、沈黙が続いた。

“···まだ、決まった訳じゃないけど。早くて、8月”

奏「···嘘···」

“でも、楓が行動に出るにはまだはやいんだ”

奏「それ、どういう事？」

聞き返す。

“楓が行動に出る為には、ある程度の条件を満たしてから。1つは、自分はもう要らないんじゃないかっていう自暴自棄の意志。でも、これだけじゃまだ弱いんだ。あともう1つあるはずなんだけど、これが分からなくて···”

奏「つまり、いつ楓がもう1つの条件を満たすのかが分からない、と···」

“そういう事。だから、その条件を何となくでいいから探ってみて”

奏「分かった。あ、あと、クラブアピールには来いよ？」

“おっけ、分かった”

そして、ふと思い出した事を口に出す。

奏「それと、彼方が薄々勘づいてるから、気を付けて」

そうして、電話を切った。

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