雪恋。

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照れくさそうに、


「お騒がせしました」


って、みんなに頭を下げてる。


切ない目でそんな二人を見守ってる桐山先輩のところに、重岡と濱田先輩が駆け出してって。


「照史、今日、飲み倒そな！
付き合うわ！」

「俺も付き合います。
２２時までなら」


口々に言ってるの。


「シゲ、２２時までってなんやねん」


「俺、２２時過ぎたら、眠なるねんもん」


「お前は小学生か」


いつもの桐山先輩に戻ってて、ほっとしたけど・・・


はしゃぐ３人の様子見てたら、


重岡の、

「チョコちょうだい」

には、
深い意味、なかったんだな、って。

悟ってしまった。


二人きりになった時の雰囲気によっては、
告白しちゃおう、って、
ちょっとだけ思ってたのにな。

勇気なんて出せそうにない。


このままでいい。

このまま、一番仲良しの同期で。


その方が傷付かなくて済む。

自分に言い聞かせてた。





契約社員だから、
仕事はいつも通り定時に終わった。

更衣室で、
麻衣子とおしゃべりして、
みんなの仕事が終わるの、待ってることに。


話題はもちろん、
お昼休みの、
大胆なあの、中間課長の告白のはずが。


麻衣子、変に照れ屋で、


「もうその話はいいじゃん」


って、一刀両断。


「それより、重岡に告白しなきゃ。
今日、白鳥さん来るけど、
A、大丈夫？
重岡にちゃんとチョコ渡せる？
二人きりになれる？」


昨夜の電話の、
中間課長の不機嫌の理由は、
簡単だったの。

いつもの同期会なら、良かったのに、
そこに、麻衣子のこと好きな、
桐山先輩が参加することになったから。

気が気じゃなかったらしい。

中間課長みたいな大人の人でも、
やきもち妬いたりするんだなあって、意外。


今日は、やっぱり麻衣子は行かないって。


白鳥さんがいる空間にいたくないから、

中間課長の部屋で、
仕事終わるの、待ってるんだって。


麻衣子、うきうきしてて、
恋する乙女で可愛いの。


「確かに、麻衣子いてくれなくて、
お人好しの風花ちゃんと二人だけで、
あの白鳥さんに太刀打ちできるとは思えない」


「もう重岡たちも仕事終わる頃じゃないかな？
後から抜け出そうって、
約束しといたら？」


「そんな・・・」


「Aのチョコ欲しいって言ったのは、
重岡の方だよ？
大丈夫だって」

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