雪恋。

７ ページ38

家に着いたら、
錦戸からラインが山のように入ってきてる。


ごめん、悪かった、って、

あほの一つ覚えみたいに。


A別に怒ってないから。こっちこそムキになってごめん。


そう返したら。


錦戸なら、仲直りに明日チョコちょうだいや。


子供みたいな返事が来た。


思いっきり、既読スルーしてやった。

それぐらいしか、今の私には出来へんねんもん。


錦戸約束やで?


また送られてきて。


A勝手に決めんといて


ついつい返信してしまう。

私ってばか。


錦戸じゃあな。俺まだ仕事中で忙しいねん。


ほら。バサッと切られるのに。


錦戸に振り回されるのはもう懲り懲り。


チョコなんて、絶対に渡してやらん。








翌朝は朝から粉雪が舞ってた。


寒い寒い中、


会社の最寄駅で電車降りて、
改札抜けたら、
ヤスくんとばったり。


「Aちゃん、おはよう」


いや、ヤスくんが私を待ち伏せしてたっぽい。


「おはよう」


雪が舞う道を、並んで歩き始める。


「なあ、昨日、亮と喧嘩してんて？」


「なんで知ってるん？」


「今日、東京の本社から偉いさん来るやんか。
そんで、遅くまで残業やってんけど」


話が飛んで、脈絡ない。

ヤスくんの頭の中では繋がってるんやろうけど。

たまに、こういうことあるねん。


「そうらしいね。
錦戸が大忙しやて、
大変自慢してた」


「Aちゃん、厳しいなあ。
そんでな。
帰りの電車で亮と一緒なってな。
とてつもなく落ち込んでたから、
俺が聞き出してん。
ほんなら、Aちゃんと喧嘩したて言うてて」


落ち込んでた？

錦戸が？


「二人とも、なんでそんな不器用なんよ。
７年前もそうやってん。
いつまでたっても、
二人とも、好きて、よう言わんし。
やっとくっついてほっとしてたのに、
亮が東京行って離れたら、
なんでかすぐにすれ違うし。
素直なったらええやん、て、
何回亮にアドバイスしたか。
今も。
なんでそんなややこしいことになるん？」

８→←６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す