雪恋。

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私の方が、その１００倍、好きだよ、

胸の中でだけ答えて・・・


その胸に、そっと、もたれかかった。









粉雪の舞う中、

みんなに付き合うことになったって報告をしに、
いつもの居酒屋さんへ。


白鳥さんが急遽不参加になったの聞いたからって、
来ないって言ってた麻衣子もいて、
風花ちゃんと楽しそうに、
きゃっきゃっやってる。


「なあ、なんで二人揃って遅れたん？
Aちゃんは残業ないよな？」


神山くんに聞かれて、
重岡、真っ赤っかになった。


「今日、バレンタインやで？
つまり、そういうことやん」


報告って、それだけ。


「ええっ！二人そういう事なん？」


すでに酔ってた濱田先輩が大騒ぎしてる。


麻衣子が、


「Aっ！良かったね！」


はしゃいで抱きついてきた。


重岡、さっきまでとは別人みたいに、
素っ気なくて、もうただの同期の顔してる。


私と離れた席に座るから、寂しい。

いや、これくらいでいいんだ。


みんなの前でいちゃつくとかありえないから。


自分に言い聞かせてたら、

私の隣には神山くんが。


「なあ、さっきの話。
ほんまなん？
ほんまにシゲと・・・」


神山くん、すごく動揺してるみたいで、
不思議に思った。


「うん。
さっきから、付き合うこと、なって・・・」


「そっか。
そうやねや。
全然、気付けへんかった」


「気付かれないようにしてたから」


「Aちゃん、ポーカーフェイスやねんな。
完璧に出遅れたな、俺」


「え・・・？」


神山くんは、
先々月、大学時代からの彼女と別れたって、
みんなで慰めたところなんだ。


「ごめん。
変なこと言うて。
もう忘れてくれてええで。
シゲと仲良くな。
あいつなら大丈夫やと思う。
けどもし、寂しい思いさせられたら、
いつでも相談してや」


「ありがと・・・」


答えた時に、居酒屋の暖簾がひらっと舞って、
なんと、来ないと思い込んでた白鳥さんが入って来たの。


「ごめんなさい、遅れて。
はじめてのお店で、道に迷ってしまって」


長い茶色の髪をかき上げながら、
さりげなく、重岡と濱田先輩の間に座った。

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