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悲壮感に浸ることも無く、
案外とあっさり時は経っていく。
実感、が湧いていないんだろう。
ふとした時に、A!って呼ばれるんじゃないか。
君の声が聞こえるんじゃないか。
帰ったら、おかえり!って迎えてくれるんじゃないかって。
無意識のうちに面影を探し続けてしまう。
平野と担当した式も、
今日何とか無事に終えて。
仕事に身が入ってないないのは確実なのに、
淡々と機械のように目の前の課題をこなして、
ミスもなく成功で終わった。
「Aちゃん、お礼してあげる」
「はい?」
「手伝ってもらったお礼。飯でもどお?」
「いらない」
「いや、行こうや。奢るから」
行きつけだという、
庶民的だけど小綺麗で美味しい居酒屋に連れていかれて、
おまけにそこは個室で。
平野紫耀と個室はやだなあ、なんて思いながらも、
それを口に出すと意識しているように思われそうで何も言わなかった。
「Aちゃん最近ぼーっとしとるけど」
「そうかな」
「うん別に、他の奴らよりはそれでも仕事できるけど、元気ない」
「元気だよ」
「やっぱ、目腫らして出勤した前の日になんかあったやろ」
優太が、消えた晩は、
よく考えたら優太の命日で。
あとから気づいて
お墓参りにも行ってきたけど、
優太の気配はまるで感じられなかった。
「Aちゃんがそんなになるほど、いい男なん?」
「......うん、まあ」
「そ」
「聞いといて興味ないのかよ」
「あるけど。Aちゃん冷めてそうやから、デレデレなったらどんなかな、とか」
興味がある、とか言われても気持ち悪いだけだけど。
嫌いでも、喋るのが上手いから、それなりに楽しい。
「その人のことめっちゃ好きなん?」
「そう」
「振り向いてくれへんの?」
「さあ」
「Aちゃん、愛情表現下手そうやもんな」
「うるさい」
確かに、否定はできないけど。
そもそもこいつに愛情とかないから、
関係ないじゃないか。
「強がりやんな、嫌いじゃないけど」
「好きでもないくせにそういうこと言わないの」
「好きとか、知らん」
1回本性表したからかな。
私の前では、猫かぶるのやめたらしい。
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涼杜兄妹(プロフ) - 岸くんの小説初読みがとても素晴らしい作品で、2人だけの結婚式のところめっちゃ泣きました。今後平野くんでどうなるのか楽しみです!応援しています! (2019年4月26日 23時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - はじめまして。読んでいると自分がこの作品の中に入り込んでいくようなもので、岸さんの設定もあり、何度か涙してしまう部分がありました。平野さんとの本編がとても楽しみです。ひとつのドラマのように見れたこの作品がとても好きです。 (2019年4月6日 5時) (レス) id: e8afa57bf5 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。本編があるなんて楽しみです。 (2019年4月1日 2時) (レス) id: 123949a422 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - めっちゃめっちゃ本編楽しみです!私は岸くんが一番すきなので、岸くんの話を読めてホントに良かったです!更新頑張って下さい♪心から応援してます!!! (2019年3月31日 23時) (レス) id: 36d39b543c (このIDを非表示/違反報告)
光彩 - 初めまして。岸くん押しなので気になり読ませていただきました。すごく面白かったです。岸くんが消えてしまってさみしいですが、彼の願い通りヒロインと紫耀くんが幸せになれたら嬉しいです。本編も楽しみにしています。 (2019年3月30日 20時) (レス) id: 44ed791076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ベリナ | 作成日時:2019年3月4日 18時