さよなら、初恋【岸優太】

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記憶消去の話は、


本人が希望しないとできないらしいから、



絶対やだ！って断って、





ちょっとずつ優太のことを過去にできるように努力しようと思った。







魂とか、私よくわかんないけど。



優太みたいにいい人いないし、


そんな人の魂が消えていいはずない。






無理しない程度に、ちょっとずつ周り見ようって決心した。









「A、昨日まじでありがと。Aいないと死んでた」


「お礼は焼肉かな」


「いいよ、じゃあ今日行くか？」


「え！ずるい！私も連れてってよ！」


「アキは手伝わなかったじゃん」


「ええ〜、お願い！」


「しゃーねーな！」









会社に行くと、ジンはもう来てて、


なんとか提出できたわってちょっとやつれた顔をしてる。




なんだかんだで3人で飲むの久しぶりだし、


絶対仕事早く終わらせようって心に決めて、



パソコンに向かう。









「A〜〜、そいつと飲むのいいけどさあ〜、そいつじゃないからね？運命の人」


「あーー！なんかそいつ清楚に見せかけて絶対中身チャラいからいやだ！！」


「もー！A絶対手出されんなよ！！」









って、相変わらず優太はジンのこと気に入らないみたいで

ギャーギャー騒いでる。




自分の知らないとこで死ぬほどディスられてるジンもなかなか可哀想だななんて思いつつ、


デスクワークを終わらせ、





ドレスコーディネーターとの打ち合わせに向かう。









「あ、Aちゃん」


「岩橋じゃん、久しぶり」


「ドレス部門と打ち合わせでしょ、一緒に行こ」


「あ、そっか。岩橋も広報だから打ち合わせでるもんね」


「プランナーは数人しか参加できないのにAちゃん選ばれててすごい」


「たまたまだよ」









同じ専門学校で、


広報部に配属された岩橋は、




人見知りどうしなぜか仲が良くなって、



いろんな女の子にうらやまれる。









「そういえばね、この前Aに相談したPR映像、俺の案採用されたの！」


「すごいじゃん！」


「Aのおかげ！また相談乗ってね！」


「私でよければいつでも」









中性的な美しい笑顔で、


社内の人気も高い岩橋だけど、




私には特別気を許してくれてる気がして、





なんとなく、心があったかくなった。









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