初恋の君が知っている２-*探偵チームKZ事件ノート*-

15-B ページ22

・ 羚亜 side



　さあ、あとは。



　「不機嫌な人。」


　「んだよ。」



　明らかに機嫌の悪い理宮。


　そうだな、理宮にも最後位優しくしよ。



　「はい。理宮に似合うと思って。」


　「なっ…。」



　言葉を失う、っていう表現がぴったり。


　唖然と、私が差し出す袋を見つめている。



　「理宮？」


　「っ。」



　ハッと我に返った理宮が、

　ホワイトの紙袋を奪った。



　「…これ。」


　「うん。何となく、いいなって。」


　「…サンキュ。」


　「どういたしまして？」



　瞬間、理宮の携帯が鳴った。



　「悪ぃ、出るな。」


　「ん。」


　「もしもし……翔兄!?」



　翔兄……？



　「え、帰ってきてんの？へえ、ん。

　明日の朝…？」



　チラリと視線が向けられる。


　その視線の意味を察し、
　私は渋々頷いた。



　「八尾寺さん、夏夜くんの明日の予定を
　教えてもらえますか？」



　八尾寺大樹(ﾔｵﾃﾞﾗﾀｲｷ)さんは、
　理宮の専属マネージャー。



　「んー昼から雑誌取材、
　モデル、番宣、で終わり。」


　「ありがとうございます。」



　理宮に向かって微笑むと、
　彼は満足げに笑い返した。



　“翔兄”が誰なのか、



　それを明日、知ることとなるのを知らずに。



・

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