初恋の君が知っている２-*探偵チームKZ事件ノート*-

8-A　IT会社の社長息子 ページ12

・ 羚亜 side



　「へぇ、俺相手にお前呼わばり？
　ざけんなよ。」


　「ふざけてないけど？

　そもそも、どうしてお前がここに…。」


　「お生憎様だね。

　元カレが君の初恋の相手だ。」


　「聞いてない。」


　「もう一度俺に惚れると良い。」


　「ナルシスト馬鹿。ほんと…鬱陶しい。」



　入ってきたのは。


　私のお相手……采桐和真を名乗ったのは。



　「変わらないな、

　IT会社の社長息子、夏夜理宮。」



　「驚くぐらい変わり果てた、とでも言うよ、

　美野家の若き女主人、美野羚亜。」



　そう。



　かれこれ3年前に付き合っていた、

　元カレ・夏夜理宮(なつよりく)。



　「はい、ストップ！！」


　「詳しく聞かせろ、理宮。」



　ナナと秀さんが私たちを無理矢理引き離す。


　そして、2人は理宮と私を交互に見つめた。


　理宮は言いそうにもなかったから、
　私が言ったんだ。



　「夏夜理宮、13歳。

　IT会社の社長息子。


　権力を使って、私を未来の結婚相手に
　しようとした奴です。


　3年前に別れたけど。

　つまり、元々付き合ってた仲。」



　最低な奴、とは言わないでおく。

　本当に最低なのは、こいつの親だからね。



　「ま、そーゆーこと。

　俺は確かにこいつに惚れたけど、
　こいつは俺に惚れなかった。

　だから、諦めたんだ。」



　………。



　もう、何も言えない。

　呆れた。



　「すみませーん、スケジュール確認します！

　依織さん、こちらお願いしまーす。」


　「あ、はい！」



　3人から離れて、呼ばれた方へ向かった。



　「こんにちは、初めまして。


　美郷依織ちゃんのマネージャー、
　五十嵐有爽(いがらしあさ)。

　困ったことがあれば、何でも言ってね。

　よろしく。」


　「よろしくお願いします。」



　五十嵐マネージャー。

　とても、かっこいい人。



　少し談笑していると、
　皆が集まるこの部屋に大声が響いた。



　「サヤカ・ルミさん！！

　ご無沙汰しております！！」



　って。



・

9-A　サヤカ・ルミ→←7-B

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