溶かされていく ページ5
バレていたんだ。とっくに。そうわかって、目の前が真っ暗になった。隠していたつもりだったのに。この気持ちはこのまま閉じ込めてしまった方がいいと思っていたのに。
「ぁ……ぅ、」
「A？」
「な、んで、」
混乱して回る頭も回らない。ただ、突き付けられた事実に唖然とするままだ。
「何を思っているのかはわからない、が……心を、無理矢理押し込めるのは褒められた行為ではないと私は思う」
「へ、」
手を取られる。彼の手は私と違いとても暖かく、心地良かった。空に光る星々が私達を照らす。どこからか聞こえてくる虫の綺麗な鳴き声さえも、私にはもう聞こえなかった。
「だからこそ、私はこう問おう。
A。好きだ。私と共に、これからを歩んでくれないか」
「──っ」
握られた手を握り返し、しゃがみ込んだ。泣き顔を見られたく無くて、俯きながら声を殺し涙を流す。彼からずっと望んでいた言葉を聞いて、それを素直に言えない自分に嫌悪して、頭がどうにかなりそうで。
夜目が効いた視界で泣くのは、なんだか変な気分だ、とどこか冷静な自分がのたまう。そんな冷静な自分も、泣くことが『褒められた行為』でないことはきちんと理解ができたようだった。溢れ出してくる涙を雑に拭い、彼をしっかりと見据える。何故か瞳が揺れて、視界が覚束ない。
「あの、私こんなこと言うの初めてで。こんな気持ち、上手く言えるかわからないんですけど……
マントをずっと大切に持ってたのは、嬉しかった、と言う気持ちもありました。けど……私の中を一番占めていた感情は──愛慕でした。
好きです。貴方のことが、ずっと前から好きでした」
愛しています。あなたにその気がなかったとしても、私は。
いつか想った文章を頭の中で反復する。
一息つく間も無く、卿の身体に己が引き寄せられる。背中に回される手。
「何故だろうか」
高鳴る胸を意識しながらも、声を発する彼をそっと見やる。彼の掌に込められる力が一層強くなったのを感じた。
「いざ待ち望んでいた言葉を向けられると──どうしようもなく、頰が熱い」
「っ、」
その言葉に、弾かれたように顔が紅潮する。まるで自分自身が心臓になったようだ。鼓動が小刻みに震えて体を揺らす。息が詰まり、どうにかなってしまいそうだ。何よりも、彼も私と同じ感情を抱き、望んでくれたことが何よりも嬉しく感じた。
私の恋は、凍て付いていた氷が溶けていくように、黒ずんだ心もゆっくり溶かされていくようだった。
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ソウル・ハート - メタナイトカッコいいなぁ (2023年4月3日 8時) (
レス) id: de10e37100 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - メタ様が可愛かったです！ガチでニヤケが止まらない…また星カビ出たらみますね！ (2022年3月11日 20時) (レス) @page10 id: 1fcc16bd5c (このIDを非表示/違反報告)
柏木信子(プロフ) - はわわわわ…すごく面白かったです…!!ニヤニヤが止まりませんでした！ (2019年9月2日 18時) (レス) id: 76444309d4 (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - ランドルト環さん» コメントありがとナス！ おっ、(こんなとこで語録出して)大丈夫か大丈夫か？ 次回作も読んでくれよな〜頼むよ〜 (閲覧ありがとうございました。更新速度は遅くなると思いますが、次回作も読んでいただけると嬉しいです。) (2019年4月27日 22時) (レス) id: d72b270231 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルト環(プロフ) - はえ〜すっごい面白い…メタナイト卿がかっこよすぎて涙がで、出ますよ…。神作品だってはっきりわかんだね。やっぱTaruruさんの小説を…最高やな！新しい作品も書いて下さい！なんでもしますから！ (2019年4月23日 14時) (レス) id: 4b90a239d3 (このIDを非表示/違反報告)
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