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俺が隣に呼んだこいつは、向かいの窓の外を見ながら話を黙って聞いていた。
「なんか言えよ。」
ゆらりと俺に向けられた目は一切の光を通さなかった。
何を考えているか分からない。
「私も、人を殺したことはあります。
だけど、それに意味はなかった。」
「は？」
「なんの意味もなく手をかけて、命を奪って、それを繰り返して。
だから私はキヨさんのように人を守ることはできない。」
俺の横から立ち上がり、窓際に移動する女。
電気もついてない部屋。窓から射し込む月明かりが女を照らす。
柄にもなく綺麗だと思った。
それを逃したくなくて思わず伸びた手は何も掴むことなくそこに留まる。
「きっとシンユウさんは幸せですね。これだけ想ってくれる人がいて。」
『俺、お前のこと親友だと思ってるから。』
『改まってなんだよ、気持ち悪ィな。』
『たまにはいいだろ？』
なあ、親友。
俺がやったこと、お前は責めたりしねーかな。
いつか俺がそっちに行ったとき、また一緒に笑ってくれるかな。
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作者名：ミスト | 作成日時：2020年9月11日 23時
