吸血鬼さんと人間さん【kzh】

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考えていて思わず止まった足を進めて部屋に戻ると、葛葉くんはもう着替えを済ませていた。



すごく珍しい。



…ていうか、なんでそんなオシャレしてるの……！



今の葛葉くんの格好は、ワインレッドのセットアップ。



ジャケットまで着ちゃってカッコイイ。



確かこの服は叶さん？と買いに行ったんだっけ。



「何、突っ立って。行かねーの？」



「んっ？あ、行くよ！行く行く！」



私の服の袖をクイッと引く葛葉くんの瞳は、もう黒色だ。



あとついでに髪の毛も。



髪の色も目の色も自由自在に変えられるって便利でいいなぁ。



吸血鬼特有の能力なのかな。



てことは、葛葉くんのご家族とかお友達とかもこの能力使えたり？



もし使えたら意外と人間界に馴染めてたりするのかな。



「…ちょ、聞いてる？」



「うん？…ぐっ……！！」



「どした？心臓バグった？」



「気にしないでっ…！」



また自分の妄想に思いをふけていると、再び葛葉くんに手を引かれる。



その勢いで彼の顔を見ると、その目にはメガネがかけてあった。



(葛葉くんの)眼鏡姿が大好きな私は思わず心臓の辺りをグッと掴んだ。



葛葉くんは引いた目で私を見てくる。



これは私は悪くない…！



「まぁいいけど。ほら行くぞー」



「うん…！…あ、ねぇ葛葉くん」



「んぁ？」



「買い物行くってなったとき、なんでいきなり追いかけて来たの？」



2人で肩を並べてエレベーターに乗る。



本日２回目となる1階のボタンを押すと、十数秒後にはエントランスへ着いた。



外に出てからそんな話をしていると、葛葉くんは私の顔を見てからすぐに目をそらす。



…なんかデジャヴ。



朝もなんか拗ねてたと思ったらヤキモチ妬いてたし。



今回もそうってこと？



けど、誰に嫉妬？



「…久々にAが一日いるって言うんで？まぁ…察しろバカ」



「バっ…！酷いなぁ、葛葉くん」



「うるせ」



「ふふ、ずはくんかわいいねぇ」



「はぁぁぁぁああもう家だったらボコボコにしてた」



「こっわ」



どうやら葛葉くんは私と一緒にいたかったらしく。



マスクの下はにやけてばっかりだ。



口が悪くなるのは、きっと照れ隠し。



「買い物終わったらもう家でゆっくりしてよっか」



「流石に一日外出るのはきちぃ…」



「だよね」







.







.







「＿＿＿＿あれ、葛葉？」

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