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ページ14

「はい?…っ、田中くん……」



「よっ!なーにしてんの?」



「…電話」



肩を叩いてきたのは、例の電話の田中くんだった。



思わず顔がこわばる。



馴れ馴れしく肩を組んでくるこの人は、やっぱり苦手だ。



彼から逃げるように足を進めるも、しつこく着いてこられて。



「彼氏さんいるんでしょ?」



「…それが何か」



「俺Aちゃんこと気になってたんだよね〜。失恋慰めるためにさぁ、俺とご飯行ってよ〜」



「ごめんなさい」



失恋、だとかは知らないけど、例え私に恋をしていたとして、失恋の慰めをその本人に頼むだろうか。



ただ軽い人にしか思えなくて、また嫌悪感をひとつ抱く。



「…めんどくせぇな。ちょっと」



「わっ…ちょっ、離してっ…!」



突然腕を引かれ、大学の外へと連れ出された。



リュックが肩から滑り落ちないように抑えながら、必死に足を動かす。



振りほどこうとしても、出来ない。



怖い、怖いよ。



葛葉くん……。



「離してってば…!」



「やだね。顔だけが取り柄なんだから1発やらせろよ」



「っ…!?」



1発やらせろよ…!?



(もしかしてっ…!)



バッと今歩いているところを見ると、ホテル街が近くに見える。



ほんとに…?うそ……やだ…。



私が抱かれたいと思うのは葛葉くんだけ。



こんな人になんて、求めてない。



それにまだ講義も残っているんだ。



「やっ…離しなさいって!!」



「おぉ、抵抗するんだ。可愛いねぇ」



「ちょっと…!」



お昼時だからか、人はあまりいない。



基本この辺りが栄えるのは夜だから。



ぶんぶんと腕を振って、逃げ出そうとするもさらに強い力で掴まれてギリッと嫌な音が鳴る。



もうやだ、と目を瞑ると、パシッと誰かに腕を掴まれた。



「…大丈夫です?」



「へ……」



「なんだよお前」



「これ、同意ですか?……って、え、Aちゃん?」



ふわりと香る甘い匂い。



私よりも背の高い男の人が、田中くんの腕を捻り上げて私の前に立ちはだかった。



この人の背中は、見たことがある。



「叶さんっ…」



「あらら…泣いちゃった…。…で、君は?犯罪者になりたくてこれしてる訳?」



叶さんは田中くんにそう告げると、田中くんは逃げ出した。



へた…と腰が抜けてその場に座り込む。



「こわ、かった…」



「大丈夫?…っと、触っちゃ怒られちゃうかな。葛葉に連絡する?」



その言葉に、私は首を横に振った。

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hs - こんにちは!r18の作品のURLをコメント欄に貼ってもらえませんか?どうしても見れないので…これからも応援してます! (2022年9月17日 7時) (レス) @page50 id: 44092dc9d2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - のんちゃんさん» ありがとうございます! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ルカさん» 恐らく年齢設定の問題だと思われます…。18歳以上だと見れると思います…! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - スゥッ……久々にみた…てぇてぇ死んだ…………ありがとうございます┏┛墓┗┓ (2022年8月5日 8時) (レス) @page49 id: bbcbbc772c (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - 作品一覧を見ても全3件となっているのにr18の作品だけ非表示になってるんですけどどこで見れますか? (2022年7月16日 3時) (レス) @page27 id: 718c8c65a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年11月15日 0時

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