結果を受け止め ページ47
そして、ついにこの時間となる
候補生全員、固唾を飲んで発表を待つ。哀葉も壁に寄り掛かり、見守っていた
最初に言葉を発したのは、双葉だ
「それでは、これより二年生育成枠のメンバーを発表します」
「でも、忘れないでほしい。選ばれた者も選ばれなかった者も、等しく誇りに思っていいということ。役を取れなかったとしても、変わらずカンパニーの仲間として、キャストを支えてほしい。いいね」
「「はいっ」」
早乙女の光栄な言葉に、一同は快く返事をする
そして
「ハーディ役…天現寺翔」
「はいっ」
「おめでとっ、天現寺」
キャストが発表されていく
落胆や称賛が、発表されるごとに広がっていく
「オーランド役、空閑愁」
「はい」
「ちぇっ、超えてやる自信あったのによ」
「俺を納得させられないオーランドだったら、即有罪だ」
恨みっこなしの結果発表で、涙を見せるものはいなかった
「次、パーシィ役…卯川晶」
「っ…!」
ひと悶着あったらしい卯川と那雪は結果がどう転んでも晴れ晴れとしていた
同じコンプレックスを抱いていたからこそ、二人は壁を乗り越えた
それは、彼らにとってかけがえないものの一つになるだろう
「ほらっ、さっさと立て」
「っはい!」
そしてここから、緊張の一瞬となる
「では続いて、ランバートの影役…月皇海斗」
「っ…はいっ」
「そして、アレクシスの陰役、辰己瑠唯」
「はい」
その名前に、星谷は動揺を隠せず、落胆する
舞台に立てなかった。それが、何よりも歯がゆかった。けれど、彼にはそれ以上の大役を任せられる
「さて、今後本格的な稽古が始まるわけだが、その前に大事な報告がある。ランバート役の柊がこの度ブロードウェイデビューすることが決まった。よって、柊は本人の意思により、卒業記念講演を降板する」
魚住からの報告に一同がどよめく
しかし、この後さらに混乱を招くことになる
「それに伴い、新たにランバート役には」
(さぁ、悠太。君はどう出る)
夢に手が届く場所に立った時、君は果たして、平常でいられるだろうか
「星谷悠太を据える」
「………え”っ…?」
『ん、ふふっ…情けない声…』
思わず哀葉は笑みをこぼした
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作者名：春月 | 作成日時：2018年1月20日 23時
