【スタミュ】黒崎蘭丸の従兄弟が綾薙に居るⅥ (ページ46)

今日:11 hit、昨日:3 hit、合計:45,393 hit

押しかけページ46

月日というものは忙しく充実していればこそ、廻るのが早いというものだ
慌ただしかった稽古の日々も過ぎ、候補生全員が待ち望んだ日となった

育成枠オーディションの結果発表日

それが今日の大イベントである
哀葉は朝方、遥斗からの連絡を受け、結果を事前に知っている。そして同時に、声楽科の他学科研修が終わることを指している
彼女の仕事はあくまで育成枠オーディションの手伝いだ。オーディションの結果が出てしまえばそれまで
勿論、時間があれば放課後にでも顔を出すことは決めている

『今日で終わりか…長かったような、短かったような』

「短いだろ。有罪だ。お前のスパルタ指導に慣れてきた頃だってのに」

『んで、なんでれんれんは当たり前のように声楽科に来てんだ』

午前は通常の声楽科の授業の哀葉は、MS科に費やしていた時間を取り戻そうと課題に追われている
とはいっても、英才教育を受けていた彼女の頭では授業の飲み込みは早い
そんな風に午前中を費やし、お昼時。久方ぶりに霧崎と弁当を囲む予定だったというのに、何故か北原が乗り込んで来た次第である

「あぁ?聖から今日でお前が来るの最後だって聞いたから、一緒に飯食ってんだろ。なあ、聖」

「ちなみに俺的には、これ、俺も参加する必要あったかな。ごめんねー霧崎君」

「いや、うん…もう慣れたよ」

『はぁ～～…お前らが来るとややこしくなるんだよ。和も慣れないで』

全く持って頭が痛い話ではあるが、虎石は他の男子生徒と絡む哀葉は、気にしないというのに、何故か北原か南條がかかわると途端に機嫌が悪くなる
最近ようやっと落ち着いたというのに、これでは逆戻りである

「冷てぇなぁ。俺と和泉で何が違うってんだ」

北原はうだうだと文句を言う。それを聞き、哀葉と南條は顔を見合わせ

「『こうやって押しかけるか否かの違い』」

ピタリと意見が一致した

「はぁ!?」

「つまりは、引き際が大事ってやつだよねぇ。俺だって刺されたくないから、哀葉と距離取ってるのに」

流石にもう哀葉を使って虎石をからかうのに飽きたらしい南條は、それなりの適切な距離を保って彼女と接しているため、虎石も落ち着いたのだ

『稽古には顔出すし、本番も見に行くから、駄々コネんな』

「おい、俺は子供かなんかか。有罪」

「廉は十分子供だと思うけどねぇ」

「んだと聖!!」

『そういうとこが子供なんだよなあ…』

「あはは…」

研修最終日の昼は騒がしく終わったのだった