221, 奇妙な体験 ページ24
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「ありがとう。楽しかったよ」
「あーあ、せっかく今からだってとこだったのに…」
「ほんとすごかったよ。今度機会あったら私とも試合しような」
亀崎くんたちは私の提案を聞いて嬉しそうに頷いてくれた。
そして後ろを振り返り、徐ろに指を差す。
そこにはきゅうりが奥へ奥へと成っていた。
「そうか。あのきゅうりを辿っていけば、森へ抜けられるんだね」
「え、じゃあ俺たち帰れんの?やった、帰れるー!」
木暮は帰れることを知ると、一目散にきゅうりの道へと駆けて行った。
そうだ。早く帰らないとみんな心配してる。
「それじゃあまた」
「またな!」
木暮に続いて私たちも道へと入った。
ふと、ヒロトが足を止めていることに気づく。
「ヒロト?早く行かないと木暮に置いていかれるぞ」
「…あ、あぁ、ごめん。今行くよ」
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森を抜けた私たちはみんながいるであろう食堂に向かった。
木暮は少々不安そうにしていたが、ヒロトがその都度声をかけてあげていた。
そして扉の前に到着し、思いっきり開ける。
「ごめんなさい!」
罪悪感があったのか木暮は真っ先に謝罪の言葉を述べた。
しかし食堂にいたみんなは何かあったのかってくらいポカンとしている。
「ほらほら木暮くんも座って。早くしないとなくなっちゃうわよ」
「…怒ってないの?」
「怒るって、何を?」
「だ、だって俺たち1日帰ってこなかったし、森の中でサッカーしてたらこんな時間になってたし…」
「森…?…変なの」
春奈は木暮の話を一切信じず、おにぎりが乗ったおぼんをみんなに配っていた。
…待って、このおにぎりは、まさか。
「おかかおにぎり…!?」
「…!」
「何をそんなに驚いてるんスか?あ、Aさんの分もまだちゃーんと残ってるッスよ!」
「呆けてないで、お前も早く食べたらどうだ」
昨日の出来事が今日になっている事実に驚きを隠せないでいると、遠くから走る音が聞こえてきた。
「木暮ぇ!見つけたぞ!」
「ひぃ!まだ怒ってる!」
「待ちやがれ!!」
怒号が飛び交う中、2人はあっという間に食堂から消えてしまった。
「円堂くん」
「ん?」
「河童はいたんだよ」
「…?」
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私たちはどうやら
誰も知ることのない奇妙な体験をしたようだ。
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青碧(プロフ) - チョコドーナツさん» ここまで読んでくださりありがとうございます!そしてお褒めの言葉恐縮でございます!執筆の糧となりました…!更新頑張っていきたいと思います!! (2022年5月2日 19時) (レス) id: 466145af3d (このIDを非表示/違反報告)
チョコドーナツ(プロフ) - めっちゃ面白いです!夢主ちゃん心に響く言葉言ってくれるし、男勝りなとこも凄く好きです!更新頑張ってください! (2022年4月30日 0時) (レス) id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか?素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2021年9月17日 23時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - 最初シリ−ズも何回か可能です。 (2020年8月12日 23時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - 初めましてこの作品大好きで楽しみにしておりますもし良かったら是非「あなたの小説読ませて下さい。」ですイベントというのはこんな感じ「https://uranai.nosv.org/u.php/event/kouooue/parts」です もし無理でしたらお断りして構いません (2020年8月12日 23時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青碧 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月24日 23時