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“あそこの席、座って。”
担任の女教師が案内してくれたのは窓際の一番奥の隣の席。
はいと軽く返事をし、席に着く。
ふうっと一息吐き、スクールバッグの中から必要なものを取り出してから、机の横に吊す。
そういえばまだ教科書が無いんだった。
今朝、隣の人に見せてもらってね。と担任に言われたのを思い出した。
俺らの教室は男女で交互に座っていて俺の隣は女。
面倒臭い女じゃなければいいけど。
チラリと隣の席を見た刹那、胸が高鳴った。
その理由はただ一つ。
隣に座っている女。
きっとこの教室にいるどの女よりも美人なのに気だるそうに教卓を見つめたり、飽きたらノートに落書きをしたり、明らかにそいつが身に纏う空気が今まで寄ってきた馬鹿な女とは違ったのだ。
直感で、俺とこいつは似ていると、そう感じた。
愛に飢えている、そんな瞳を持った彼女が酷く気になってしまったのだ。
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作者名：悠 稀 。 | 作成日時：2018年9月30日 16時
