君の蒼い花。2章=オリジナル=

96話 ページ46

「なんでも、ない」

そう言いながらしゃがんでスマホを取ろうとするけど、全然上手く取れてない。

「どうした？」
代わりに取ってあげて
画面を見ると朝比奈、と表示されてあった。

朝比奈 徹(あさひな とおる)くんは
蒼真と友矢の高校で出来た友達。
朝比奈くんと志麻 玲太(しま れいた)くん、
蒼真と友矢の4人が仲良しグループだったらしい。

一年前の今頃は4人、うちの家で集まって
たこ焼きパーティーしてたのに。
久しぶりに名前を聞いた気がした。

「朝比奈くんじゃん、蒼ちゃん大丈夫？」

「ごめん、手がすべっちゃって」

…うん、手が滑っただけじゃないね。
どう見ても震えてる。
画面には『蒼真、大丈夫か？近々会いたい』と。

「学校ずっと休んでるの、気にしてくれてるんだよ。最後の挨拶はしないとダメだし」

「分かってるけど、行けない…」

手の甲を噛んで泣くの我慢してる。
痕になるからその癖やめてほしい。

「無理に行かさなくてもいいじゃん」
兄ちゃんが優しい声で言う。

「でも、志麻も『学校来いよ、待ってる』って」

「無理に傷つきに行かなくていいだろ」
珍しく兄ちゃんが蒼真を冒険させない方向へ
持って行っている。

「友矢のこと、思い出すのまだ少し辛いだろ。
いいんだよ、少しずつで。
逃げねぇから」

「うちに遊びに来てもらうのはどうかな？」

「…そうしようかな」

とりあえず返信すると
明日来てくれることになった。

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