君の蒼い花。2章=オリジナル=

71話 ページ21

風呂から上がって髪をざっと乾かした。
今日は疲れたや。
もう寝てやろうと思って2階に上がろうとすると
兄ちゃんに呼び止められた。

「これ、光貴の学校の書類。
書いたから忘れないうちに渡しといて。
あと、蒼真が『白湯飲みたい』って
電話してきたから持って行って。
今日も一緒に寝るんだろ？」

うん、さんきゅと返して
俺は書類と白湯を持って上がった。

光貴の部屋の戸をノックすると
中から気の抜けた返事が帰ってきた。
部屋に入るとバレーボールでトスの真似事を
する光貴の姿があった。

「これ、兄ちゃんから。書類な」

「あ、ありがとー」

「バレー、付き合おうか」

「ううん、大丈夫。また、よろしく」

「じゃ。おやすみ」

「うん」

部屋の戸を閉める。

最近、難しい年頃だ。
何を話したらいいんだろうか。
全然会話が続かない。
学校のこと聞いても「楽しかったー」とか
「実習大変だー」とかぽわぽわした返事しか
戻ってこない。
年頃の男子の母親はこんな気持ちなんだろうか。

最近は駅前のケーキ屋でバイトしているらしい。
雨生情報だけど。
昔から落ち着いた奴で、何となく連れない奴だった。
考えも大人びてて、
まだ俺らが小学生の頃、
母の日のプレゼントに
兄ちゃんと俺と雨生で割り勘して駄菓子を買ったけど、光貴は1人でカーネーションを1輪買ってきた。
母さんは泣いて喜んでいたけど。
光貴とは、なんか距離を感じる。
まだ養子だということは知らないはずなんだけど。

ただのバレー馬鹿ではない。
よく分かんねぇ奴だ。

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