君の蒼い花。2章=オリジナル=

51話 ページ1

「「ただいま〜」」

「雨生、光貴おかえり〜！
手洗いうがいして〜」

夜7時。
雨生と光貴が同時に帰ってきた。
最近、一緒に帰ってくることが多い。
まあ少ないバスの本数のおかげで
偶然会ってしまうのだろう。

リビングに入るや否や
雨生と光貴は固まってしまった。

「に、兄ちゃん？」

口をぱくぱくさせている理由は
ソファーで蒼真が兄ちゃんに抱かれて眠っているからだろう。
昨日あんなことがあったのに。

「おかえり」

「待って待って理解が追いつかない」
雨生がない頭を振り絞ってなんとか理解しようと
している。
そんな珍しいことしたら熱出るぞ。

兄ちゃんは蒼真のほっぺをつんつんしながら
言う。
「俺も生んで欲しくなかった訳じゃないよ。
ただ、誰かが言わないと蒼真は
甘えてしまうんだと思って。
悪い意味でね」

やっと分かった。
兄ちゃんは、俺らのお父さんであり
お母さんであり。

ちゃんと蒼真に決断させたんだ＿＿＿＿。

頭が上がらなかった。
やっぱり兄ちゃんだ。

「よし、ご飯出来たよ！
今晩はオムライス！」

「やったー！」
俺がテーブルに運んでいくと、
雨生がガッツポーズで飛んできた。

そして、俺に耳打ちをした、
「…蒼真の大好物だから？」

俺は大きく頷く。

おめでとう、蒼真。
俺からのささやかな御馳走です。

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