検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:147,443 hit

43話 ページ43

「おい、千尋。待てや」
アキラがすかさず追いかける。

「ごめん晴生。千尋連れて帰るわ」
アキラはそう言って部屋の戸を閉めた。

薄暗い部屋に明かりが灯った。
雨生の笑顔が輝く。

「蒼真おめでとう!!!」

「おめでとう」

雨生と光貴が微笑みかける。
蒼真の目から涙がこぼれた。

「俺っ…ママに、なるんだよねっ」

「そうだよ蒼真!おめでとう!」
雨生が力一杯抱きしめた。
蒼真の緊張してた顔も解れて、
笑顔も見えてきた。
「苦しいよ、雨生ちゃん」

「蒼真やったね、
友矢は蒼真が独りぼっちにならないようにしてくれたんだね」
光貴も嬉しそうに笑った。

そして、俺も。

「さっきは、ごめん。
産んでほしいとか、産まない方がいいとか、
どっち付かずなこと言って。
本当にごめん。
俺はずっと過去に捕らわれてたのかもしれない。
あと、今の仕事に。
ごめんね、混乱させて本当にごめん」

頭を下げた。
初めて、蒼真に頭を下げた。

責任のないこと言ってしまった。
心配してるように見せかけて、どこかが
きっと
他人事だったかもしれない。

最悪な兄貴。

唇を強く噛んだ。

ふわり、と柔らかいものが頭の上に置かれた。
見上げると、蒼真の手だった。

「いいんだよ、ハルちゃん。
ありがとう」

その一言に救われた。

俺が死産して落ち込んでたとき、
ずっと励ましてくれてた。

なのに、当たってしまうこともあった。

だから、それの罪滅ぼしじゃないけれど
次は俺が蒼真を支える番。

44話→←42話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.8/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
設定タグ:オリジナル , 妊娠 , 男性妊娠 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

朱々璃(プロフ) - こはるさん» 閲覧ありがとうございます!体が弱いので少しずつの更新ですがよろしくお願いします! (2017年10月30日 21時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こはる - とても面白いです!最初は少し泣きました (笑) これからのお話も楽しみです!更新頑張ってください! (2017年10月28日 22時) (レス) id: df734a0178 (このIDを非表示/違反報告)
朱々璃(プロフ) - 凛月☆男の娘は国宝!!さん» 閲覧ありがとうございます!勿体無いお言葉嬉しいです。これから兄弟一人一人の話も進んでくるので、永らくよろしくお願いします! (2017年10月24日 20時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
凛月☆男の娘は国宝!! - あ゙あ゙ああぁ〜〜!!(´;ω;`) やめろー!これ以上いい話にもっていくな〜!! 涙腺崩壊して涙が止まらないよ〜〜! (訳: 朱々璃さんの作品は素晴らしいです!) (2017年10月21日 19時) (レス) id: 89f15ab5c3 (このIDを非表示/違反報告)
火野スウ(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!本当に嬉しいお言葉です!この話に思い入れすぎて、普段の生活でも隣に蒼真が見えちゃうような感じです笑 私自身、晴生同様、体が弱いので更新遅めですがよろしくお願いします!もしよければこれからも感想とかお願いします! (2016年10月10日 12時) (レス) id: 9435c25c3c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朱々璃 | 作成日時:2016年6月24日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。