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13話目 ページ16

ふと神威が傘をさして夜王に近づいていった



「人とは哀れな者だね。己に無いものほど欲しくなる。届かぬものに程、手を伸ばす。夜王に無いもの...それは光」


夜王を見下ろし、話を続ける


「旦那ァ、貴方は太陽のせいで渇いていたんじゃ無い。貴方は太陽がないことに渇いていたんだ」


その間も煌々と光る太陽


「誰よりも疎み、憎みながらも。誰よりも羨み、焦がれていたんだ。」



夜王は目を閉じて聞いている



「俺たちが決して手に入れることができない太陽に、冷たい戦場ではなく暖かい陽の下で生きる事に、決して消えないその目の“光”に。故にその光を奪った女達を己のいる夜、この常世の国に引き摺り込んだ。そしてそれでもなお消えぬ光を憎み、愛したんだ」



「んふふふっ....”愛“いったいそんな言葉どこで覚えてきた。そんなものわしが持ち得ぬのは貴様はよく知っているはずだ。
わしと同じ道を歩む貴様であれば、お前はわしと同じだ。戦う術しか知らぬ。欲しいものは全て戦って力尽くで奪う。気に食わぬものも全て戦って力尽くでねじ伏せる。
愛も憎しみも戦うことでしか表現する術しか知らぬ。お前もいづれ知ろう。年老い、己がきた道を振り返った時、我らの道には何も無い。」



夜王は人生を後悔しているように見える

「本当に欲しいものを前にしてもそれを抱きしめる腕もない。爪を突き立てる事しかできん」


太陽に腕を伸ばしながら夜王は問う
「なぜお前さえも俺を嫌う」
「なぜお前さえも俺を拒む」



その返答がないまま夜王は再び目を閉じた




_____

日輪という女性が夜王へ近づき膝枕をした

「ひ....日輪...」


「貴方はただ、こうして日向で居眠りしたかっただけの普通のおじいちゃんなのよね。....馬鹿な人」






夜王が息を引き取った









パンッパンッパンッ

急に空気を読めない拍手が聞こえた

さすがだよ神威

冷や冷やする

「よっお見事、実に鮮やかなお手前。とは言い難い形だが、いやはや恐れ入ったよ。小さき火が集いに集ってついに夜王の鎖を焼き切り吉原を照らす太陽にまでなったか......まさか本当にあの夜王を倒しちゃうなんて、遠くまできた甲斐があったなあ。久しぶりに面白いものを見せてもらったよ」

「吉原に降りかかる闇は夜王だけじゃない。俺たち春雨に、幕府中央暗部闇は限りなく濃い。本当にこの吉原を変えられると思っているのかい」


「変わるさ、人が変われば街も変わる」

銀髪の侍は確信したように答えた

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迷い猫 - 神威の一人称が僕になってますヨ! (2021年11月2日 7時) (レス) @page4 id: 0f483562a2 (このIDを非表示/違反報告)
lica(プロフ) - ゆるさん» ありがとうございます\(//∇//)\ (2020年7月16日 15時) (レス) id: a09501c7ae (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年7月2日 16時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
lica(プロフ) - 神威さん» コメントありがとうございますヽ(*´∀`) リクエスト頂いた内容で早速書きたいと思います!ありがとうございます! (2020年5月25日 10時) (レス) id: a09501c7ae (このIDを非表示/違反報告)
神威(プロフ) - 読んでてとってもキュンキュンします!笑これからも期待してます!さっそくリクエストさせていただきたいんですけど神威の部屋でお家デートしたみたいな短編見てみたいです!難しいかもしれませんが出来たらやって欲しいです!m(*_ _)m (2020年5月25日 2時) (レス) id: 16991fe54c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:lica | 作成日時:2020年5月7日 15時

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