22話 ページ24
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俺たちはとめどなく涙を溢れさせながら、ただただAの話を聞いていた。
誰も何も言えなかった。
こんなにも素晴らしい才能を持っているAが、悲しいくらい自尊心が低い理由がその時になって漸く分かった。
一番認められたい人に
決して認めて貰えなかったから。
Aは両親を愛していると言った。
どんなに理不尽をぶつけられても、
今でも
愛していると。
愛した人に認められないことがどんなに苦しいかぐらい俺だって知っている。
だからきっとAは自分を否定し続けるのだろう。
どんなに自分を讃える賛美の声を聞いても、本当に認められたいと思う人に認められない限り永遠に満たされない。
「A、嫌じゃないの？」
思ったことが考える間も無く口をついて出た。
どこか微睡んだような眼差しのAは、俺の方を見て優しく尋ねる。
『何が？』
「ミクのために書いた曲を俺たちが歌っちゃうの、嫌じゃないの？」
嫌だと言われてしまったらどうしよう。
本当は歌って欲しくなかった、なんて言われたら...
聞いてしまってから言いようのない不安に襲われた。けれど出てしまった言葉は取り消せない。
恐る恐るAの顔を覗くと、変わらず優しく微笑んでいた。
『全然。むしろ嬉しい。
曲を作る人絵を描く人歌う人踊る人、全員で盛り上げていくこの世界を愛してる。』
はっきりと告げた。
『みんなのことも大好き』
そう言って、フニャっと普段は見せないような屈託のない笑顔を向ける。
あぁ、この人はボーカロイドを愛しているんだな。
心からそう思った。
この人は
命を救ってくれた恩人として、自分を表現する手助けをしてくれる仲間として、誰よりも傍に寄り添ってくれた友人として。
ボーカロイドを愛しているのだ。
敵わないな
と思ってしまった。
過去を語るAの目が、まるで恋人を思うかのように慈愛に満ちていたから。
きっと俺たちがいくらAの歌を歌っても、どんなにAのことを愛しても、
俺たちではAを救えない。
それでも俺たちはAの幸せを心から願った。
恩人になれないとしても、両親のようにAに求められなくても、
寄り添う友人に、共に歩む仲間にぐらいはなれるんじゃないか。
だから俺たちは決めた。
どんなことがあってもAを愛し続けると。
誰も言葉にはしなかったけれど
確かにみんな
そう誓ったんだ。
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ゆきうさぎ - コメント失礼します。作者様の負担になるようでしたら話は別ですが、僕は皆でハッピーエンドが良いと思います。 (2020年9月20日 1時) (
レス) id: f935ff1209 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 個人的にはhappyendが好きなのでhappyendが読みたいです…！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 57a51dc74d (このIDを非表示/違反報告)
匿名主(´・∀・｀) - 初めまして、失礼します。個人的にはhappy endが良いんですが…一回何らかの endで完結させてしまって、その後に場面分岐的な終わり方にすれば良いのではないか。と考えております。作者様に負担が掛かってしまいますし、上からで申し訳ないんですが…考えて頂ければと (2020年6月13日 21時) (レス) id: 610e5b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
ペン - 初めまして、今日は。 秘かに読まさせて頂いてます。今更なのですが、 happyendが良いと思ってます。体調に 気を付けて更新頑張って下さい。 (2018年6月24日 11時) (携帯から) (レス) id: c5e8935b6a (このIDを非表示/違反報告)
にょむさん - 個人的にはHappy Endがいいです！ (2018年6月17日 22時) (レス) id: c18b2f6fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年12月3日 21時
