12話 ページ13
俺が雄英生として生活を始めてから、中学の時と比べ、かっちゃんは人が変わったかのように献身的になった。
俺が雄英に来る前までは、他の友人と食べていたであろう昼食を俺と一緒に取る。
定期的に俺の寮室に訪れて高校についてや俺が居なかった時の事を話してくれる。
さらに、途中編入でついでに記憶のない俺がついていけない授業があれば、理解できるまで教えてくれた。
寮に戻ったら一度かっちゃんの部屋に寄るように言われたのは、流石に過保護すぎるんじゃないかと思った。
けれど、
『そこまでしなくても大丈夫だよ？』
というとかっちゃんはぐっと眉間にしわを寄せ、ひどく悲しそう表情をするものだから俺が折れるしかなかった。
「お前の居場所はここだ。」
そう言って俺の手を握りしめるかっちゃん。
中学の時でさえこんなに一緒に過ごすことはなかったから、俺は正直どうしていいか分からない。
「俺はお前が大切だ。」
かっちゃんが病室で俺にくれた言葉を、時々思い出したように反芻させる。
けれどそれは霧のように朧げで、夢のように曖昧で、現実味を持ち合わせていなかった。
今まで誰にも貰えなかった、誰にも与えられてこなかった愛情を、今さら口で伝えられても、それが本物なのか偽物なのか俺には区別が付かなかったから。
かっちゃんはきっと、俺に対して罪悪感を感じているのだろう。
【自分が約束を反故にしたがために、幼馴染みがヴィランに拐われた】
その事実がかっちゃんを苦しめているんだろうなと思う。
だからきっとこれは彼なりの贖罪なのだろう。
そんなこと気にしなくたっていいのに。
もともと俺がいなくたって誰も悲しまなかった。
誰も、かっちゃんや出久でさえ俺を求めては居なかった。
居ても居なくても変わらない俺が消えたところで、世界は相変わらず廻り続けるのだから。
悲しいけれど、それは昔から唯一変わらない事実で、まるで足枷のように俺を過去に縛り付ける。
けれど、そんなかっちゃんに俺は甘えている。
かっちゃんが居なければ、俺は本当に一人になってしまうから。
ねえ、かっちゃん
君の罪悪感に縋るしか無い愚かな俺を
どうか
許して。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
