#2 ページ24
オンボロ寮を出ると、優しい夜風が頬を撫でる。
その風はふわりと前を歩いているユウさんの髪を揺らし、私と同じシャンプーの香りが鼻をくすぐった。
「…星が、綺麗ですね」
黙っている時間がいたたまれなくてそう言えば、「そうだねぇ」と彼女はしみじみと頷いて続ける。
「私の元々いた世界…の“ニホン”っていう国の首都が、“トウキョウ”っていうんだけど
そこだと、こんなに星は見えなかったの」
「そう、なんですか」
「うん。だから新鮮！」
私にとっても、彼女の元いた世界の話を聞くのはなかなか無くて新鮮だ。
(魔法が使えなくて、スカート丈が短くて、星もあまり見えなくて…
一体どんな世界なんだか)
そんな興味を抑えきれずに、「あの、」と口を開く。
その時だった。
「そこにいるのは誰だ？」
「！？」
「ゆ、幽霊！？」
突然声をかけられて、私とユウさんは反射的に身を寄せ合う。
そして揃って声の方を振り向けば、頭のツノが特徴的なディアソムニアの生徒が立っていた。
＿＿＿この容姿を見て気づかないほど、私は世間知らずではない。
(マレウス・ドラコニア様…！！)
「これは驚いた。お前たち、人の子か
ここに住んでいるのか？この館はもう長いこと廃墟だったはず。独りで静かに過ごせる僕だけの場所として気に入っていたのだがな」
拗ねたように言ったその姿は、噂の声をかけづらいオーラを放っている人物と同人物には見えない。
呑気にそんなことを考えていた次の瞬間、私はユウさんの発言に度肝を抜かされる。
「あなた、誰ですか？」
「！？！？！？！？」
「誰って…僕のことを知らないのか？本当に？」
(ユウさあああああああん！！！！！！)
…実際に絶叫しなかった私は、頑張った。
(わかってる。わかってるんだ、彼女は異世界の住人
この世界の有名人だって知らなくてしょうがない)
そう、しょうがないことだ…と言い聞かせて、目の前で「ふぅん、知らないのか…それはそれは珍しいな」なんて言って心なしか嬉しそうなあの人は見なかったことにする。
「おまえは…」
「っ…」
ユウさんに向けられていた視線が、私の元に来る。
(…さすがに、学生として振る舞うのは気が重い)
「私は、知っ」
答えようとすると、マレウス様が人差し指を口に当てる。これは…どう考えても…
(言うなってことですね…！)
だとしたら様をつけて呼ぶのは勿論、実名を呼ぶのさえも避けなければいけない。どんなハードモードだそれは。
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のま(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます…！その通りです。見事に誤字していました泣細かい所まで見て下さりありがとうございますm(_ _)m (2021年1月9日 8時) (
レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 31ページ 大丈夫だよジャック、、、の後にくるのは夢主の名前ではないのでしょうか?? (2021年1月9日 7時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - 月華姫さん» コメントありがとうございます( ´ ` *)グッピーちゃん呼び、一応理由があってどこかで明かすかもしれませんので楽しみにしていてください笑応援嬉しいです！応えられるように頑張ります！ (2020年5月23日 15時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
月華姫 - フロイドが何故夢主ちゃんをグッピーちゃんと呼ぶのか気になりながら更新楽しみにしていますっ♪此れからも応援していますっ(｀・∀・´)bではまたっ♪ (2020年5月23日 15時) (レス) id: 4f61ef1df2 (このIDを非表示/違反報告)
遙(プロフ) - keronefiさん» うっコメントありがてえです…課題に追われて死にそうですが、更新も頑張ります！ (2020年5月13日 23時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のま | 作成日時：2020年5月7日 17時
