第四話 ページ5
Aside
なんでよりによって今日玲王のクラスと合同で体育があるんだろ?
同じ体育館と言えど男女別なのがせめてもの救いだ。
「A、どしたの?ぼーっとして」
「え、わ、ユキちゃん!」
「体調悪い?保健室行く?」
「全然大丈夫!元気!」
「そう?早く着替えて行こ〜」
彼女は天里 由希。女の子の中で唯一の親友だ。
いつも笑顔で可愛い。
わたしに友達がいないのは玲王の婚約者だったせいなんだけど。
今日は女子はバドミントン、男子はバスケだ。
うちは進学校だからか体育はあまり重要視されてなく、教師も割と放任主義だ。
当たり前だと思うが、ほとんどの女の子はバスケをしている学園の王子様をみている。
「レオかっこい〜〜」
「またシュートきめた!かっこいい」
女の子たちはバドミントンそっちのけで玲王に黄色い歓声を浴びせ続けている。
そんな女の子達に笑顔を振りまく玲王はたしかに王子みたいだな。
目が笑ってなくて怖いけど。
「よくやるよなぁ…」
「何が?」
「うわ、えっ凪…何してんのこんなところで」
「めんどくさくなったから休憩中。Aこそずっと水筒持って何してんの」
「授業じゃんちゃんとしよーよ。私は…なんだろ、人間観察?」
「なにそれ」
彼は凪誠士郎。授業中はいつも寝ている。今日はまだ体育に来てるだけでも偉いぐらいだ。
玲王の宝物?らしい。少し前玲王に自慢された。なぜか。
「玲王、いつも愛想笑い浮かべてるよな〜って思って」
「ね、めんどくさくならないのかな」
「それな?」
「凪〜次の試合俺らのチームだぞ〜」
凪と同じチームらしい男の子が凪を呼んだ。
「うえ〜めんどくさ…A、匿って〜」
「あは、匿うわけないじゃん、ほら行って」
「はあ…めんどくさ…」
そう言って凪は男子がバスケしている方に向かっていった。
私もバドミントンがんばろ…
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作者名:はる | 作成日時:2023年3月15日 3時