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ページ38

確か…、
具材はこんな感じだった。


味付けは…、
もうちょっと優しく
全体的に 丸い味の仕上がりだったはず、、






見様見真似。

必死に親父の手元を思い出し、
記憶の中にある味を手繰り寄せる。








「………ポトフです。」


「わぁ♡」






黄金に輝く澄んだスープ
ベーコンの深みと、野菜本来の旨味。




コトンと、お嬢様の前に皿を置くと
お嬢様はスゥーっと息を吸いこんだ。







「いい匂い!」


「………、」





皿から立ち上がる湯気と香りのせいか、
お嬢様の口角が上がる。







「美味しい♡」




フニャンと緩んだ、目元
頬に あてがわれた手のひら
口元から溢れた、白い歯








……………。








その時のお嬢様のお顔を
俺は生涯、忘れることはないと思う。







「りゅうじみたい!とっても優しい味」







ふつふつと湧き上がる、この想いを
うまく言葉に出来ない。




口に運ばれていくスプーンを
黙って見つめていた。

綺麗にたいらげられた皿を 流しに運ぶ頃には、
泣きそうになってた。








その日の夜、
俺は、旦那様の部屋を訪れた。






コンコン…

ノックを二回すると、
直己さんの親父さんがドアを開けて
俺を部屋に招き入れてくれた。







「どうした、隆二」

「旦那様…、お願いがあります。」

「なんだ、言ってみろ。」





あんなに悩んでいた未来なのに…





「料理人になろうと思います。」





一瞬で 心は決まった。







「調理師免許が取れる学校に 通わせてください。学費は、料理人になったら
きちんとお返しします。」


「それが、本当に
お前の進みたい道なのか?」






あの時とは違う。

深く息を吸いこんでから
旦那様の目を 真っ直ぐに見て答える。






「はい。卒業したら、五十嵐の料理人として
キッチンに立つつもりです。」






「俺に 三年、時間をください。
誰よりも、一生懸命勉強します。
誰にも負けない料理人になってみせます。」






お嬢様の笑顔を見た あの瞬間(とき)
もう、心は決まってたんだ。


俺の料理で、
この家の人達を笑顔にしてみせる。





「ウメさんには、感謝してるんだ。
学費のことは気にしなくていい。
お前は、しっかり勉強してこい。」


「はい!」

















俺が料理人になると告げた夜、
目にいっぱい涙を溜めた 婆ちゃんが
ノートをくれた。


親父の味が詰まった大切な
レシピノート。





それが、料理人としての
俺の原点

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設定タグ:三代目JSoulBrothers , 岩田剛典 , TETSUYA,土田哲也   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - りょうちさん» そうなのー。今書いてるの書き始める前かなー?読み返してくれたんですね!ありがとうございます(*´▽`*) (2017年9月13日 16時) (レス) id: 4e300b94c6 (このIDを非表示/違反報告)
りょうち(プロフ) - 花さん!いつの間に更新してたのよー!嬉しいサプライズだよ(*^▽^*) (2017年9月13日 15時) (レス) id: e6319aab1f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - らりるれろんさん» ありがとうございます(*^^*) (2017年8月31日 7時) (レス) id: 4e300b94c6 (このIDを非表示/違反報告)
らりるれろん(プロフ) - そうですよね(^^;臣隆のお話も読ませていただいてますよ(^^)楽しみです!あっ!遅くなってしまいましたがお子様お誕生日おめでとうございます*\(^o^)/* (2017年8月31日 4時) (レス) id: 4dde80cde4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - らりるれろんさん» PowderSnowはもうこれで終わりです。 (2017年8月30日 17時) (レス) id: 4e300b94c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年11月19日 22時

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